宿番号:312901
ホテル金沢 兼六荘のお知らせ・ブログ
ジョーカーの正体
更新 : 2025/6/13 2:47
人生で選択肢を迫られる場面は何度もありますが、フォルトゥーナにカードを選ばされているとも言える。認めるに躊躇すれど両親だって自ら選んだのかもしれなくてね。私自身は学校に関しては第一希望のカードを引いた経験が無い。
夏期講習の休憩時間にコカ・コーラを飲んで居ると「脳みそが溶けちゃいますよ〜♪」とジョーカーこと当時の英語教諭が私のコーラを花壇に捨ててしまった。そして余ったコーラに白い物体を落としこう言った。「これは昨日抜歯した子供の歯です。明日になれば歯は消滅しています。」ジョーカーは殿医の家系の医師だったが高校では英語教師にも従事していた。ジョーカーは生徒を一瞥するとこう言った。「これがアメリカ人の日本人への本心です。」「受験と関係無いと思いますが?」「貴女は将来外国語を使って働きたいのでしょう?この事実を知るべきですよ。」受験用の英語だけ教えてりゃいいのに。
だがジョーカーの言葉が真実であることを、私は卒業後10年満たずして知ることになる。「ジャップ、モンキー、イエロキャブ…」米軍基地ホテル勤務時に白人の男性客に取りすがりに囁かれる。小さな子供にさえも「チャ◎ニーズ、ジャ◎ニーズ、コー◎アン♪と眼玉をくるくるされたこともあった。周りは白人だらけ。喉元までこみ上げてきた熱い涙を抑え「PRAY FOR USA」と私はジョーカーから「外国人の中で困ったら使いなさい」と教わった英語を返した。するとニヤついていた白人NAVY達が「Oh…,never mind」「Idont mean …」と。翌日には彼らのマザーが息子の襟首を掴んで私のフロントに謝罪に来るという事態まで起こった。それどころか当時まだ片言英語しか話せなかった私のフロントを選んで、辛抱強く英語で対応してくれるNAVYも現れた。その大半が何故か最初私に「ジャップ…」と笑った面々だったのよね。
「アメリカに神のご加護を」なんて受験英語にはまず出ない。英語の授業中にコカ・コーラに乳歯を落として化学実験する先生なんか前代未聞。御殿先生、既に虹の橋を渡られた貴方ならジョーカーというあだ名をつけた犯人は男子では無く私だった…と御存知ですよね。そして私がどの外国人とも同等に向き合える様になったことも。
フォルトゥーナよ。アナタのカードはいつも混沌と色濃くサイケデリックです。アナタのカードは最初から失敗や外れは無く、総てが「当たり!」なんだもの!
関連する周辺観光情報