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大正浪漫の趣き 天見温泉 南天苑のお知らせ・ブログ
割り山椒(わりざんしょう)
更新 : 2007/11/15 2:50
山椒の実が割れてはじけたような形から、こう呼ばれています。
これが料理の器として調理場にならぶ頃には、季節も晩秋となり、また今年も年末が来て正月準備の季節がやって来るのだと、毎年思い出させてくれます。
ちなみにこちらは、備前焼の陶芸家。小山月山(こやまげっせん)さんの割り山椒向う付。
割り山椒の器は、和食器の中でも、いろいろな地方で、窯元で、陶芸家が焼いている伝統的な形です。
「自然が教えてくれる」
作陶に関わる先人たちは、四季それぞれに織りなす日本の自然の現象の中から、創作のインスピレーションを得ていたのだと分かります。
そして、またこの器は、洗い場さん泣かせの器でもあります。
ここだけの話、和食器の形は洋食器のようにはまいりません。形も材質も大きさも多種多様。塗り物は云うに及ばず、焼き物でも土物、焼締め、陶磁器ではそれぞれ洗い方がそれぞれ変わります。忘年会シーズンで洗い物の数がいっそう多い時期だし、それにもかかわらず、この器は積み重ねることができないし、割れた形状の部分は、丁重に扱わねばすぐに欠いてしまうので、よほど慎重に扱わねばなりません。洗い場さんの作業効率の悪いことこの上ないのです。
でも、この国、独自の「伝統」を引き継いでゆくということは、ある意味「効率優先」という社会や風潮に「逆行してゆく姿勢でもあり、日々の作業でもある...」と、洗い場のヘルプをするたび感じる今日この頃です。
今年も忘年会シーズンが始まりました。ご予約はどうぞお早めに...