宿番号:313188
大正浪漫の趣き 天見温泉 南天苑のお知らせ・ブログ
坪庭の妙
更新 : 2007/11/29 16:41
扇子、トランジスタ、折り詰め弁当など... 小さいものに美を認め、あらゆるものを「縮める」ところに日本文化の特徴がある... と、韓国の文学者 李御寧氏は著書『「縮み」志向の日本人』の中で語っています。
「坪庭」は、建物と建物の狭間、欠込みなど。建物の構造上の余白な空間を利用して造られた小さな庭... でも、そんなたった三坪ほどの空間にも、石を運び、植生を育て、ミニチュアで山や川を模して造られる、いわば鑑賞する庭です。
これも天然の風景を「縮め」、イメージ上の自然の情景の再現を試みる、日本人の感性にほかなりませんね。
写真は、当館客室「六歌仙」の坪庭。中央には大きな樟(くすのき)が聳え、冬にはやや陰になりますが、夏には強い日差しを遮って、青々とした木漏れ陽の空間を作ってくれます。この陰影がまた落ち着くのです。
生垣の向こうに見えるのは、回遊庭園の紅葉と温泉の煙突。
ここ「六歌仙」は、六畳本間と二畳踏み込みの小さな部屋ですが、ここも辰野金吾が設計した、堺大浜潮湯の移築当時の面影を、そのままに残したお部屋です。