宿番号:313188
大正浪漫の趣き 天見温泉 南天苑のお知らせ・ブログ
初生け
更新 : 2008/1/3 19:45
「正月三が日は、鋏や刃物を使うな」なんてこと聞いたことあるような気がしますが、料理屋ともなると板場は包丁使うし、フロントでは事務作業にバリバリ、カッターナイフ使うし... なので、花生け者(敢えて華道家とは言わないのですが...笑)の私としては、正月二日ともなれば、花を生けたくなります。
柱から垂れるのは「結び柳」。なお、これは正月前に生けたもの。
結びの「むす」は、「産す」「生す」の意。
青竹から、これもまた青々と円窓を描いて垂れる大垂れの柳は 天と地を結ぶ永遠に変わらぬ生命の循環。
今日、年が明けてから、今年初めて生けたのは、結び柳の下の古備前の甕(かめ)に抛入れで生けた松、千両、梅。
じつはこれ、年末に植木屋さんから戴いていたもので、当館の門松制作で余った松、梅古木の材料... そこに当館の庭に実る千両です。
料理の食材もそうですが、花材も同じ。
料理は、魚や、牛や、鳥...etc、ひいては野菜、豆の端に至るまで。生きとし生けるものを殺生して、人の口に供し、はじめてその天命を全うします。
料理人がよくよく気をつけなくてはいけないのは、決して材料を無駄にすることなく、素材の持ち味を生かして、できるだけお客様に残さず食べていただける旨い料理をつくること。しょっちゅう食べ残されて、捨てられる料理をつくっていたのでは、せっかく海ですいすい生きていた鯛や平目や、土に還るのを待っていた豆ひとつぶに申し訳がたちません。
花材も同じこと、食べるわけにはまいりませんが、一度切られたものは、人の目の賞玩に供してこそ生命を全うできるもの。花材もあだやおろそかに無駄にはできません。
松も、梅も、切られてなお長持ちする花材。水揚げがよくて梅が開花すれば「花生け者冥利」に尽きるものはありません。これからひと月近く、当館の玄関で私たちと一緒に、お客様のお出迎えさせていただきます。
梅は咲くかな〜?どうかお楽しみに...