宿番号:313188
大正浪漫の趣き 天見温泉 南天苑のお知らせ・ブログ
東京駅... 東京...
更新 : 2008/1/15 15:57
東京に出かける所用がありましたので、帰りに辰野金吾設計の東京駅をカメラに収めてきました。
私が家業の天見温泉南天苑に還ってくる前。サラリー時代に住んでいた東京。その頃、なぜか、帰郷するときや、東京から出張の際には、東京駅丸の内側入り口にシンパシーを感じていて、とくに中央口の『車寄せ』の部分に、妙な懐かしさに似た心情を感じていました。
あれからずいぶん年月が経ちました...
ふだんは東京へ所用で出かける時も、地下からそのまま新幹線に乗るのですが、昨日は久しぶりに辰野金吾が設計し、1914年に開業した東京駅を外側から見たくなり、寒風吹きすさぶ中、東京駅丸の内側の南口から中央口、北口までを見て歩きました。
改装工事中で建物の近くには近寄ることができなかったのは残念だったのですが、これだけ立派で堂々とした建物なのですが、この赤レンガという素材や窓の雰囲気が、当世のビル建築にはない、どこか建物全体に「人の血の通う...」と思わせる雰囲気を醸しだしているのです。
南天苑の、この建物が、1913年(大正2年)辰野金吾設計によって、堺大浜潮湯別館家族湯として竣成し、その後 1935年(昭和10年)天見温泉に移築。南天苑本館が、辰野金吾が手がけた数少ない和風建築の中のひとつと判明したのは2002年(平成14年)のことです。
この館の中の一角で生まれ育った私は、大げさかもしれませんが、...今にして思えば、まだ「辰野金吾」という名前も知らない頃... 東京駅に感じていたシンパシーは、元を同じとする建築家の思想へのシンパシーだったのかもしれません。
現在の丸の内側の赤レンガ駅舎は、1945年の空襲で被災。後に1947年現在の形に修復されましたが、これを戦前の姿に忠実に復原する工事が現在進められています(2007年5月30日着工・2011年度末完成予定)。
資本もスケールも東京駅とは、ぜんぜんちがうので、云うのも僭越なのですが、駅も旅館も機能だけを優先するのならば、取り壊して立て替えるほうが簡単。でも、当館も東京駅と同じく、「残そう」と決めた時から、現代の快適性や利便性を備えつつ、今までに変わった箇所を「元の姿」へ復元することを少しずつはじめています。
なお、南天苑本館は、2003年、国の登録有形文化財となりました。零細旅館ですから、牛の歩みのようなものですが、どうか気長に応援してやってくださいまし...<(_ _)>