宿番号:313188
大正浪漫の趣き 天見温泉 南天苑のお知らせ・ブログ
葦戸ごしの初夏の情景
更新 : 2009/6/7 12:34
おそらく、古くからやってる旅館さんなら、どこでもそうだと思うのですが、
六月、衣替えの時期になりますと、日本家屋では、建具を障子から、葦戸(よしど、または簾戸[すど])に入れ替えます。
子どものころ、毎年六月になると、
大人たちが、ヨイショヨイショと、障子を簾戸に入れ替える姿を見ていました。
大人が忙しくて、相手にされない子どもの立場としては、どこでも同じで、どうしてこんな手間なことするんだろう、とか、
障子のままでも充分なのに、何か意味があるのかな、などと思ったものですが、
それでも、すべての部屋に葦戸がはまった部屋から、葦戸ごしに外の景色が透けて見える情景は、それまでとはまったく別の世界でしたね..。
何か、障子とは場面が変わった、いままでとはちがう、非日常の不思議な情景や、季節の変わり目を感じたものです。
緑いっぱいの初夏の風景を、葦戸の微妙なストライプ越しに楽しむ、心のぜいたくさ。
四季の性格がはっきりした、日本の国ならではの、古くからの、この時期の愉しみ方なのですね。
さて、梅雨空ではありますが、より緑が深くなりはじめ、
紫陽花の花も色づきはじめ、蛍もそろそろ天見川に出まして、それほど暑くも寒くもないよい季節です。
今年も南天苑は、お部屋を葦戸に入れ替えました。
四季を楽しむことは、日本を楽しむこと。
この国に残っている、贅沢な文化を大切に楽しむことにほかなりませんね。
朝目覚めれば、葦戸越しに見る緑が、心癒してくれます。