梅雨には、紫陽花がよく似合う。
花が好きで、その時々の花を求めて、あちこちの花の名所を訪れることがよくある。
　あれは、いつの頃だったろうか？行く先も決めずに何気なくふと入った公園。
そのアジサイ園はサマーランドの脇を入ったところにあった。日本古来の紫陽花から西洋のアジサイまで、数十種類の紫陽花が、山の中腹までちょうど登山のミニハイキングをするような形で植えられていた。星のような花びらの紫陽花や、真っ白いぼんぼりの形をした紫陽花。さまざまな種類の紫陽花があった。
　桜の木のトンネルの下のピンクや白、ブルーの紫陽花。その坂を上りきったところで、突然真っ白い滝のような西洋アジサイの大群落が、目の前に広がった。花の名前は「アナベル」と言う。
清楚ですがすがしく、それでいて気品がある花だった。
青い空に、白い花が一面に咲く様子は、まるで一幅の絵を見るような美しさだった。
私は、これほどさわやかなアジサイを、後にも先にも見たことはない。
　もう、今頃は花が咲き始めた頃だろうか？
今年もまたこの公園を訪れてみようと思う。アナベルの花の中、心ゆくまで静かな時をすごしてみたいと思っている。（ ザ・ビー八王子　かうる）