宿番号:314865
アパホテル〈飯田橋駅南〉のお知らせ・ブログ
受験生は、それでも恋をする。【前編】
更新 : 2024/2/29 13:29
毎年2月に縁結びの神様がいるとの話がある「東京大神宮」に訪れる。
これは少年Aの話なのだが、彼には恋人がいない。別に恋人が欲しいとかではないらしい。しかし、なにかしらの引力が働いてるみたいだ。…え?少年Aは自分?いやまさか。
私が大神宮に行く理由は一つ。中3の冬、大神宮で出会った女の子に恋をしたからだ。名前は分からないが、綺麗な黒髪に優しく大きな瞳に僕は一目惚れした。会える可能性なんて無いに等しいが、僅かな期待は僕の東京への足取りを軽くさせる。
時は2024年、高校3年生になる。今年は東京で大学受験。
長崎から飛行機で2時間、毎年行けば遠くも感じない…いや、そう感じさせないのは受験の緊張感だ。考える間もなく東京に到着した。受験会場の兼ね合いもあり、宿泊先は飯田橋にあるアパホテル。東京メトロやJRの複数の路線からのアクセスが可能で便利だ。まぁ無論、田舎者には難しい。しかし、私の大好きな大神宮が近い。その理由だけで気分はとても高揚した。
いつも親と一緒だったものでなんか心細い。なんとか東京メトロ東西線のA5出口を見つける。多分合っている。地上から地下へ吹き下ろす強風は、長崎では浴びることのない初めての風。募る不安は私の足取りを早める。しかし、階段を上るとすぐにアパホテルは見えた。無事に登頂したかのような安堵感すら覚え、アパホテルに入りチェックインを試みるが、ホテルスタッフから「お客様のお名前でご予約がお見受けできません」とまさかの答え。確実に飯田橋に予約したはずなのだが、僕の入試生活で早くも最大の挫折だ。
…ん?どうやら、飯田橋にはアパが2つあり、私が予約したのは飯田橋駅南だった。今入ったのは飯田橋駅前という別店舗らしい。案内を受けると徒歩1分の距離に飯田橋駅南はあったのだ。焦りや安堵、少しの苛立ち、言葉で表現しきれない感情が交錯するが、まぁ何でも良い。飯田橋駅南へ。
ホテルに入るとバレンタイン装飾が出迎える。粋な演出だ。
時刻は14時。通常は15時からの案内だが、私の予約した受験生プランは1時間早くチェックイン出来る。
手続きを終え、部屋に向かうためエレベーターを待つ。東京に来て初めて心が落ち着く。よし、勉強に集中しよう。
それは束の間、エレベーターが到着し開いた時だった。すれ違った一人の女性と目が合い衝撃が走る。
私の3年前に始まった縁結びは、たった今、軌跡を描き始めた。
他のホテルを探す場合はこちら
ビジネスホテルを探す
エリアからホテルを探す