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アパホテル〈飯田橋駅南〉のお知らせ・ブログ
受験生は、それでも恋をする。【後編・上】
更新 : 2024/7/19 17:57
彼女は私のことを3年前から知っていた。動揺を隠せない私を他所に彼女はこう話を続ける。
「あの時、私のことずっと見てたもん。そりゃ気付くよ。」
あの3年前の出来事、彼女に全部見られていたというのだ。恥ずかしいことこの上ないが、私の承認欲求に似た何かが満たされた感覚がした。知ってもらえて嬉しい。そんな邪な気持ちを悟られぬよう、私は恐る恐る彼女に質問した。
「毎日、こうして大神宮に来ませんか、一緒に。」
なぜこんなことを言えたのか、それはきっと、彼女への恋心以外何もなかった。
怪訝な表情だった以前と異なり、今の彼女は笑みをこぼしながら、こくりと頷いた。
さっき食べたはずの、850円のロースカツカレーは既に胃の中には感じなかった。
なぜ850円なのかという問いにはリアルに先週まで遡って欲しい。
ホテルへの帰路、彼女と志望校や学校での出来事について会話を交える。今、この予想もしない展開に終始心は浮わついていた。大神宮からアパホテル飯田橋駅南まで徒歩5分ほど、近すぎるアクセスは彼女と一緒に居たい時間とのジレンマを生んでいた。
入試の残り5分間と彼女との帰り道だけは、終わりたくない―――。
なんてことを考えていたらホテルに到着してしまう、まったく無情だ。
「僕、明日から入試なんだ。もし一緒の大学受けるなら...」
そんな私の言葉を遮るように彼女は答えた。
「良いよ。行こ。私も君と一緒に行けるかなって思ってたから。」
一体これを言われて嬉しくない者などいるだろうか。答えは、否だ。
それにしても、お互い名前を聞かない。その理由は互いに知り得なかった。
そして約束は、翌日から実現した。
ここでアパの清掃方法についての紹介だ。
私はアパに10日間滞在するのだが、清掃は各日希望制らしい。清掃を希望しない場合はアメニティ類とバスタオル等を部屋前に置いてくれる。
また、3泊おきにシーツ類の交換をしてくれるというシステムだそうだ。私は、その交換日に入試がなく部屋にいる予定なので、2泊目の朝に交換をお願いした。融通が利いて助かる。
朝9時にホテルロビーで待ち合わせだが、私は8時30分に部屋を出ていた。理由は言うまでもない。
「おはよう。早いね、待った?」
「全然、そっちこそよく眠れた?」
「眠たいけど、さすがに緊張しちゃう。」
「そうだよね、頑張ろう。」
私の早起きは、彼女を待たせない、その一点だったから。
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