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    受験生は、それでも恋をする。【後編・下】

    更新 : 2024/2/29 13:29

    入試最終日の朝、チェックアウトも済ませるため荷物を全てまとめる。
    浴室の鏡をぼーっと見つめながら歯を磨く私は決して寝ぼけていたのではない。
    「明日の入試が終わったら、大神宮で待ち合わせね」
    この彼女の言葉が気になって仕方ない。昨日の告白は決して衝動などではない。しかし、あのタイミングが正解だったのか、昨晩以降、頭から離れることはなかった。
    ルームキーをチェックアウトポストに入れ、フロントに荷物を預けた。スマートフォンでの登録を済ませないといけないらしいが、すぐに登録は済み間もなくホテルを出発した。

    10日目ともなると緊張感は程よく緩和されている。鳥のさえずりがハッキリと聞こえるし、車の音ですら心地よく感じてしまうそんな朝。ちなみに釈明しておきたいのだが、今日は彼女と受験する大学が違うから別行動なのであって決して昨日の気まずさから会っていないわけではない。決して。

    入試を終え、荷物を引き取るためにホテルへ戻るが、その前に残した約束を果たすためにあの場所へ。
    大神宮の入口で彼女は待っていた。いつもと変わらぬ表情。そこで彼女の返事を私は確かに受け止めたのだった。




    少年Aには中学3年生から好きな子がいたのだ。しかし、名前も住んでる場所も知らない彼女に会える訳がないと思っていた。そんな彼女を思うばかり、私は高校生活で恋人なんて作れなかった。そんな二人を結んだのは、東京大神宮だった。奇跡の再会を果たした彼女に、少年Aは3年越しの告白をした。嘘のような話。

    東西線飯田橋駅A5出口。少年Aは慣れた足取りで、地下鉄に吹きこむ強風を苦もせず階段を駆け上がる。4月から東京の大学へ進学し、今日も大神宮を訪れていた。
    少年にとって今日はとても大事な日なのである。何の日か?それは今に分かることさ。

    「ごめん、待った?」

    「全然。でもおなか空いちゃった。ロースカツカレー食べよ。あと唐揚げ10個。」

    「賛成。まずは参拝してからね。」

    「受験生じゃないからもう850円じゃないね、ロースカツ。」

    「受験生か…懐かしい響きだ。」

    「何言ってんの。まだ半年しか経ってないのに。」

    「そっか。もう付き合って半年か、早いね。」

    「そうね。それよりほら、早く行こ?」

    恥ずかしながらも私の手を引っ張る彼女の笑った横顔は、3年前と変わらない。


    これは、受験生が恋をした10日間のキセキのお話。

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