ご機嫌いかがですか。

しっとり降る小雨の中を足早に駆け抜けようと身を屈めたその時に
小さなお花が眼に映った。
露を湛えたその可憐な姿に思わず立ち止まって見つめていると、
ようこそ！と穏やかな笑みで雨の中出迎えて下さった方こそ
この工房の主である陶芸家の千尋悠子さん。

雰囲気のあるギャラリーには外の聞こえざる雨音の温もりに包まれて
彩り豊かな作品が確かにその主座を占めていた。

もう数十年も前にここに拠点を構えられたと伺ったが、建物のモダンさは歳月
の重厚な歩みを一本の弦が軽やかな緊張感を保ちながら演奏しているかのように感じ取られる。

千尋さんの人生の歩みこそ豊かな人々との出会いの中で、今の作品へと昇華されている。
お話を聞くほどに作陶への熱い気持ちが伝わって来る。

7月から再オープンするラビスタ大雪山の売店コーナーに千尋さんの彩りを
迎えられる事がとても誇らしく思えます。

ギャラリーを出て小雨降る中再び車に戻る。
心の置時計はまるで暫し時を止めていたらしい。