宿番号:316572
「葉桜と魔笛」
更新 : 2010/4/5 16:50
『桜が散って、このように葉桜のころになれば、
私は、きっと思い出します。――と、その老婦人は物語る。』
美しい出だしで始まる、太宰治の小説です。
女一人称の小説としては、「女生徒」や「斜陽」ほど
有名ではありませんが、未読の方にはぜひおすすめ。
とても悲しく美しい、短編です。
「葉桜」のイメージにあまりにぴったりのヒロイン像のため、
葉桜を見るたびに、思い出してしまいます。
そしてスプーンでスープを飲むたびに、「斜陽」の中の、
『お母様がひらり、ひらり、とスープを飲む』
世にもエレガントな描写のシーンを思い出します。
ほんっとに太宰は、女性を描かせたら天下一品ですね。
いまだにモテるのも、わかる気がするなあ。
フロント【鬼嫁Y.A】