宿・ホテル予約 > 静岡県 > 南伊豆 > 下賀茂 > 花のおもてなし 南楽のブログ詳細

宿番号:318967

忘れかけていた田舎の温もりと香りに包まれた南伊豆の湯宿

ハイクラス

下賀茂温泉
【車】下田より15分【電車】伊豆急下田駅より車で20分 ※伊豆急下田駅から送迎有(先着順/電話完全予約)

花のおもてなし 南楽のお知らせ・ブログ

宿泊施設ブログ

  • 施設のおすすめ

    天人(てんにん)の湯  其の弐

    更新 : 2016/7/3 21:44

    お待たせいたしました。前回の続きをどうぞ。


    香のかおりが辺りに流れて、あや絹の薄物がちらっとのぞくと、

    女房は飛びつくように羽衣を取り出して、素早く身にまとい、

    静かに立ち上がりました。

    目も眩むような艶やかさに長者は声をのみました。

    「長者殿、ぜひこの姿で一さし舞わせてくださいませ。

     子供たちにも見せてやりとうございます。」

    長者は何とかして止めようとしましたが、あまりの驚きに声も出ません。

    その時、どこからともなく清らかな風と、

    美しい雅楽の音色が聞こえてきました。

    女房はやがて静かに舞い始めると、ふわりふわりと空に浮き、

    その姿はまことの天女かと思われました。

    女房は一さし舞うと手を止めて、

    「長者殿、私は天人でございます。この羽衣を求めてそなたに近づき、

     妻となりました。今はもう天に帰らなければなりません。

     どうか子供たちを立派に育ててくださいませ。」

    と言うなり、星のようにきらきらと光る羽衣を翻すと、

    空のかなたへ消えていきました。

    後にはなんとも言えぬ良い香りが漂っておりました。

    長者は、残された子供たちを抱いて毎日嘆き悲しみました。

    それから、長者の家には笑い声一つ聞かれなくなり、

    大勢の召使いたちも、一人去り、二人去り、

    長年栄えた長者の家も、跡形もなく崩れ落ちて、

    今はただ”長者が原”と言う名前が残るだけの

    野原になってしまったということです。


    現在”長者が原”は、5月初旬になると野生の山つつじが咲く

    観光スポットになっております。


    花のおもてなし南楽  渡辺

宿泊のご予約はこちらから

料金・宿泊プラン一覧

お電話でご予約される場合は、宿泊プランをお選びください。