宿番号:319846
宵待ちの宿 萩一輪のお知らせ・ブログ
萩市河添に出現した「アザラシ」について
更新 : 2009/7/30 1:23
7月25日に萩市河添(橋本川・河川公園)に出現した「アザラシ」について、萩博物館で下記のとおり情報を確認しまとめましたのでお知らせします。
なお、この情報は下関市立しものせき水族館・海響館(展示部海獣展示課:立川利幸班長)からの助言や情報提供を踏まえて作成したものです。
■種名
アゴヒゲアザラシ(顎鬚海豹) 〔脊索動物門:哺乳綱:ネコ目:アザラシ科〕
ほかのアザラシ類よりヒゲが発達していることが特徴。ただし、ヒゲは下側の顎(あご)からではなく上の唇(くちびる)から生えています。
■分布
北極海、ベーリング海、オホーツク海。
■生態
本来の生息地では、海底に潜ってカニ・エビ・貝などを捕らえて食べたり、タラなどの底魚を吸引して食べます。北極海にすむアザラシとしてはもっとも大きくなる種類で、寿命は25〜30年程度といわれています。
■サイズ
アゴヒゲアザラシは成長すると体長2〜2.6mに達します。このたび萩市に現れたものは、接近できないため正確な計測はできませんが、写真から判断する限り体長1.5m程度の若い個体と思われます。
■性別
萩市に現れたものは接近できないため、雌雄の判別はできません。
■日本各地での出現例
アゴヒゲアザラシは、2002年に東京都多摩川(愛称「タマちゃん」)、2005年には徳島県那珂川にも現れています(愛称「ナカちゃん」)。ほかにも多少の出現例がある可能性がありますが、このたびの萩市での例はアゴヒゲアザラシの西日本での出現例としては珍しいといえます。アゴヒゲアザラシ以外では2002年に宮城県伊里前川にワモンアザラシ(愛称「ウタちゃん」)が現れたり、近郊でもゴマフアザラシが萩市見島(2006年)・宇部市真締川(2007年)や福岡県に現れたり各地で出没しており、アザラシ類そのものが日本沿岸に現われることはそれほど珍しいことではありません。
■出現理由
このたびのアゴヒゲアザラシは、北方から海流などに乗って移動してやってきたものと思われますが、詳細な出現理由は不明です。
■問い合わせ
萩博物館 主任研究員 堀 成夫
萩博物館 (0838-25-6447)