宿番号:327522
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千年綾杉の一木造り、杉の間のひととき
更新 : 2012/5/26 18:52
床の間を飾る与謝野夫妻の軸、その歌に一礼し、お客さんにお詠みする女将。
昭和7年、当館に夫妻がお泊りになられ、そのときの情景をそれぞれ歌に読まれています。
与謝野晶子さんからその時のお礼状を頂いています。
前略・・・「泊めて頂いた永田氏は此地の旧家で、氏は此地にある加藤清正時代の城趾の古木である綾杉の一本の大樹を材として、三年掛かりで広い新邸を建てられ、まだ内部の設備が十分出来上らないので引移られないのですが、私達を泊めるために月の初めから新しく畳を入れたりして待受けて下さるのでした。主人自らの工夫で、綾杉の巨材と美とをいろいろに利用して造られた立派な建築は、私達のような素人にも現代にも少ない代表的な建築だと感嘆せられるのでした。主人のお話に由ると、この建築を見て、土地の人々に樹木を尊重する気風が今更の如く生じたと云うことです。阿蘇の外輪山のなかで此地だけが豊富に温泉が湧き、この新邸の浴室にも溢れて居ました。」
当時のまま残る杉の間、穏やかな気持ちになります。