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ホテルモントレ仙台のお知らせ・ブログ
つんつるてんの卒業式 ●●
更新 : 2013/3/4 18:11
これまでは身勝手な旋律で歌い流していた…。
さすがにその日はノドの力を抜いて綺麗な声で歌っている。『よい〜日よ、きょうは〜♪』
生まれて初めて着た服。 詰め襟、金釦、深い黒…そうそれは学ランである。
「キツイ、首が回らないよ」
「なのにさ、袖はブカブカ…ズボンもブカブカなんよ」と口を尖らせる。
「これからウンと成長するのよ、あなたは」
その朝、初めての学ランに袖を通した少年はまるで、まるで公家様が座敷をノソノソ歩く
ような出で立ち
「これから、こんな着て登校するのか…。」タメ息が漏れる。
その日は母親といっしょに登校した、入学式以来だと思う。恥ずかしかった。
母親はしきりに、制服の汚れを気にする。
時間があるので、クラスメイトとふざけ合う
「おまえ、なんだそのツンツルテン」
(田舎ではその服が体にフィットしていないことの方言です。)
「うるせぇ、おまえもおかしいぞ」
やがて、当時燃えていたプロレス技の掛け合いになる。
「なんでもう、ボタンがほつれているの!」母は激怒である。眼に炎が見える。
校長先生から、名前を呼ばれる。
「6年5組5番遠藤…」「ハイッ」脳天から声が出た。
伴奏が流れる。仰げば尊し、わが師の恩…♪。
振り返ると母がいた。眼に涙が見える。
そんな小学校卒業式だった。
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