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庭園の宿 石亭のお知らせ・ブログ
宮島の鹿
更新 : 2009/6/1 21:29
宮島に上陸していきなり鹿と対面する外国人観光客の反応を見るのはおもしろい。
一様に驚き喜ぶのだが、欧米人の中にはあきれはてたような表情をする者も居るし、中には無視を決め込む人さえ居り、とくにイギリス人などの知的な人にその傾向がある。人里で鹿の頭を撫でるなどもってのほかと考える人が居る。
東南アジアに行くと野生の猿が街中を闊歩しているところがある。猿が神聖で、人がいじめたり追い払ったりしないからだ。日本人にもそのような感覚はあって、大分の高崎山のように人と猿の距離のないところは珍しくない。さすがに街中に猿の居るところは日本にはないが鹿なら宮島では街中も歩いている。餌をやってるのではない野性の鹿だが、人との間に距離がない。日本人はそれをなんとも思わないが、世界中にこのようなところは存在しない。とりわけ欧米人の感覚では異様なのである。
なぜかーーー
日本人は人間も自然の輪廻の端くれだと思っている。その意味では動物と人は対等なのだ。しかしキリスト教の欧米人の感覚では人間は神の作った特別な存在であって、動物とは階級も次元も違う物である。
人が動物をペットとして飼いならしてきた伝統も動物を奴隷や使用人のように使いこなしてきた感覚も、動物愛護の感覚もすべて動物は人間とは違うものであるという前提から来ている。
彼らにとって動物は人が飼うものでなければ自然の中で純粋な野生として生きるものであって中間はありえない。宮島の鹿のように人と距離を持たず「あいまいな環境」に動物を居させることは西欧では考えられず、動物虐待であるとさえ考えたりする。
最近、日本では人里に現れる野生動物が多く、被害が出て問題になっているところもある。イノシシや猿や熊など。狸は住宅街でも見かけることが多くなった。理由はいくつか考えられ、異常気象で山に食料が無いからだとも言うし、人が山林などの自然を破壊しているからとも言い、逆に田畑が荒れて人里が自然化しているからだとも言う。
単純に野生動物を保護しすぎているからだというのもある。そのとき必ず言われるのは動物が人里に近づくことの問題。理由はどうあれ、野生動物は人里に近づいてはならないと言う。
環境生態(エコロジー)の専門家がとくにそう言うので、みんな野生動物と人の距離が近くなるのを悪く考える風潮ができている。・・・続きは石亭HPで