京都府にある「天橋立」は、宮城県の「松島」、広島県の「宮島」と並んで日本三景のひとつとして知られています。
景観の美しさはもちろん、百人一首の歌の舞台としても有名です。
大江(おほえ)山 いく野の道の 遠(とほ)ければ
まだふみもみず 天の橋立
(小式部内侍 60番 『金葉集』雑上・550)
〈現代語訳〉
大江山を越え、生野を通る丹後への道は遠すぎて、まだ天橋立の地を踏んだこともありませんし、母からの手紙も見てはいません。
〈解説〉
この歌については、「金葉集」に長い詞書が付けられています。
当時、小式部内侍は年少ながら非常に歌が上手いと評判でした。
しかし、あまりに上手なので、母の和泉式部が代作しているのではないかと噂が出るほどでした。
ある日、藤原定頼(定頼中納言)がやってきて、「歌はどうなさいます。代作してもらうために、丹後へ人はおやりになったでしょうか。文を持った使者は帰ってきませんか」とからかいます。
そんな定頼に対して、子式部内侍が即興で歌ったのがこの歌です。
「大江山へ行く野の道(生野の道)は遠いので、まだ行ったことはありませんわ(手紙なんて見たこともありませんわ)。天の橋立なんて」。
生野と行くと掛け、さらに「踏みもみず」と「文も見ず」を掛けた華麗な歌。これを即興で詠むことで、小式部内侍は、これまでの歌が全部自分の才能の賜であり、噂はデタラメであることをずばりと証明してみせたのです。
この歌で詠まれた「天の橋立」は、日本三景のひとつに数えられる名勝です。
現在の京都府宮津市の宮津湾にあり、3.3キロにも及ぶ細長い松林が、湾を塞いで伸びています。
この姿から、イザナギノミコトが天にかけた梯子が倒れたとの伝説を生み、平安期から幾多の文人達が訪れました。
歴史の足跡を辿る旅、天橋立から当ホテルまで車で約1時間です。
お客様の旅を最高の思い出にできるよう、最高の笑顔でお迎えいたします!