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季節のこだわりバイキングと美肌の湯の宿 仙渓園 月岡ホテルのお知らせ・ブログ
親父のひとり言 『ビジネスホテルの価値観』
更新 : 2013/1/12 13:57
かつて、日本のシティホテルもビジネスホテルも高すぎると外国人観光客にぼやかれていた。今でもそうだが、それは円高のせいで、20年前と比べると国内での価格は、相当違ってきている。特に、ビジネスホテルは、室内面積、水回り、空調、ベッドのグレードなど、どれをとっても昔より対価格で割安になっている。利用する時は心地いいばかりだが、旅館を経営する立場からすると何とも怖い存在になってしまった。
最近、車での出張の時は、ルートインに泊まることが多くなった。
ルートインの近辺にはレストラン、食堂が少ないことが多い。
ルートインに泊まった時の事である。この日の晩は一人で、さびしくも気楽な夕食をホテル内ですることにした。レストランに行ってメニューを手に取ると、おいしそうな料理が結構ならんでいる、しかも安い!普通の人の倍速でメニューを読み取り、健康を考え、太りすぎないよう、パリッとキャベツ、豆腐サラダ、エビマヨサラダ、一口揚げ餃子、すき焼き豆腐、以上五品をリズミカルに注文した。しばらくして気が付いたが、これを完食してしまったら、健康的にはならないことが分かった。もう遅いが。この店の料理の器は大ぶりなので、料理が全部運ばれてきたとき、私のテーブルは料理でほぼ埋まってしまっていた。料理をながめ、我ながらグッドチョイスと自己満足に浸り、ほどよく冷えた純米酒雪の松島を飲みながら、つぎつぎと料理に箸を付けていった。
斜め向かいのテーブルにリクルートスタイルの若い女性が4人食事をしながら、しきりに私の方を見ている。グッドチョイスの料理を五品も並べているので、私の事がやや羨ましいのかと思ってみたが、どうもそうではないようである。一人の娘は、顔をそむけて苦笑している。よくよく考えてみれば、ビジネスホテルのレストランで、このような飲食三昧をしているのは珍しい光景のようで、場違い感覚をしている人への軽蔑の眼差しのようであった。このことを悟ってからは、やや肩身を狭くして料理を食べていたが、結局、すべてを完食してしまった。
翌朝、チェックアウトの時、一万円札を出したら、チャリンと小銭が返ってきた。6.200円朝食付きのルームチャージに、目いっぱいの夕食と冷酒を楽しんで一万円弱とはうれしいもので、心機一転、昨晩若い娘に疎んじられた思いは吹き飛んでしまった。