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親父のひとり言 「上野の文化」
更新 : 2014/5/8 15:01
東京駅が文化財的建築物であることは誰もがうなずくことであるが、上野駅もすばらしい建築物である。改めて見る正面の外観は堂々としたもので、内部の高い天井と壁廻りなどをみても、昭和7年に建てられた時代の貫録がずっしり伝わってくる。
銀座のレカンが上野駅内に店を出してから、大分経つが、気がかりになったまま、まだ伺っていなかった。まともなレストランでの親父のひとり飯は、傍から見ると異様な感じがするものである。東京出張の夜、食欲が先立ち、体裁は二の次、迷わず店に入ってしまった。ゆったりした高さの天井と落ち着いた照明の中でメニューを広げると、ヨーロッパの古いレストランにいるような雰囲気である。アールデコ様式でまとめられた駅舎の元貴賓室には中々のムードが漂っている。
雰囲気に合わせ、ちょっと無理してワインはグラスでなくデカンタで注文、鶏レバームース550円、野菜のキッシュ800円、イチボの赤ワイン煮2000円を注文した。程なくしてレバームースが運ばれてきた。フランスパンに塗って口に運ぶと、ブランデーのほのかな香りとなめらかな舌触り、顔がゆるんでいくのが自分でも分かってしまう。これが550円とは思いがけず得をしたとセコク喜んでしまう。次に野菜のキッシュ、こんがり焼けたチーズのにおいが食欲をそそり、カットして口に入れたとき、絶妙な野菜の歯触りに感激する。800円の値段が頭をよぎり、またもやセコク喜んでしまう。やや多いかなと思っていたワインがククッとすすむ。この二品を食べれば、イチボの赤ワイン煮の味は想像がついてしまう。
いつもの癖で、隣のテーブルをチラチラ覗き見し、聞き耳をたてる。男性は80歳くらいジェントルマン、女性は少し年下くらいのレディ。話の内容からしてご夫婦ではないが、丁寧な言葉使いで会話を交わし、優雅に夕食を楽しんでいる。あの歳では、人畜無害、アクシデント無し、オールフリーの関係であろう。とは言え、花の都東京には、こんな素敵なカップルがいるのである。
さて、私としては、料理三品をたいらげ、デカンタのワインを飲み干し、勘定もリーズナブルで大満足。足取りも軽く、山手線に乗り、ホテルへと向かった。