京都・西京区に佇む「地蔵院（竹の寺）」は、静寂と自然美が調和する禅寺であり、トンチで知られる一休さん（宗純禅師）ゆかりの地としても知られています。境内を包む竹林と苔の庭園、そして心を和ませるハート形の「猪目窓（いのめまど）」が、訪れる人々に深い癒しと感動を与えてくれます。

室町時代の管領・細川頼之が創建し、夢窓疎石を開山とした臨済宗の禅寺です。ここは、後小松天皇の皇子として生まれた一休さん（幼名：千菊丸）が、母とともに幼少期を過ごした場所でもあります。母は宮中を離れ、地蔵院の近くで一休さんを出産。6歳までこの地で育てられたと伝えられています。深い竹林と苔むす庭園に囲まれたこの寺は、俗世から離れた静かな環境で、幼い一休さんが心を育んだにふさわしい場所だったのでしょう。

地蔵院のもう一つの見どころが、方丈にある「猪目窓（いのめまど）」です。一見ハート形に見えるこの窓は、実は古来より魔除けや火伏せの意味を持つ日本の伝統文様。茶室の壁に設けられたこの窓からは、季節ごとに表情を変える庭園の風景が切り取られ、まるで一幅の絵画のような美しさを楽しめます。春の新緑、夏の深緑、秋の紅葉、冬の雪景色、どの季節に訪れても、心に残る風景に出会えることでしょう。四季を問わず人気のフォトスポットです。
※ 拝観時間とは別に撮影できる時間が決まっていますのでご注意。

境内には、十六羅漢の修行姿を表現した「十六羅漢の庭」や、延命安産のご利益があるとされる地蔵菩薩を祀る本堂もあり、訪れる人々に静かな感動を与えます。また、地蔵院では「禅語おみくじ」や、抹茶の接待（不定期）も行われており、禅の精神に触れるひとときを過ごすことができます。

阪急嵐山線で嵐山エリアと一緒に散策するのもおすすめです。鈴虫寺も近いので併せてお出掛けください。