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雨の日には狐が出る(大草山の傘狐)
更新 : 2013/6/14 14:34
雨がしとしとと降り続く季節になりましたね。
舘山寺は伝説や昔話の多い土地なのですが、「雨がふる日には傘狐が出る」と言われております。
…夜、大草山のあたりで雨が降っているのに傘を忘れてしまった人が困りながら外を歩いていると、前方に傘を持った若い女性が歩いている。よかった、傘に入れて貰おうと追いついて声を掛けてみたら、振り向いた美しい女性は何も喋らずニヤリと妖しく笑い、つつつつと先に行ってしまう。追いつこうと必死に走っても、絶対に追いつけないという…
今の世の中なら、突然声を掛けられても見知らぬ人を傘に入れてあげることなど絶対に無いでしょう。勝手に狐扱いされても困ってしまうのですが、実際には舘山寺で傘を差して歩いている女性のうち、おきつねさんも本当に何人もいるかもしれませんよ。
実は浜松は、狐にまつわる昔話が異様に多い土地です。大草山の狐の場合は大した危害を与えませんからホノボノなのですけれど、雄踏には身ぐるみ全て剥ぐタチの悪い狐、浜松城に近いところには夜ごと合戦をおこなう天林寺の狐、三方ヶ原の合戦で死んだ平手監物の霊を名乗る監物狐などがいたそうです。昔は全国どこでも狐に化かされる話がたくさんあったのでしょうが、浜松の場合は大正の頃におもしろがってそれを集めて雑誌に載せるブーム(民俗学誌『土のいろ』)があったので、現在でも豊富な物語群があるようなのです。民俗学の巨人・柳田国男はむしろ大正9年の『おとら狐の話』で「三河遠江をもって管狐の本場のように言う人もある」と書いています。クダギツネとはキツネとは違う動物だそうですが、そんなのも本当にいたのかしら。
で、現在の舘山寺にたくさんキツネがいるのかといいますと、残念ながらそうではありません。霧の深い夜に車のライトにびっくりするタヌキをよく見たりはしますが、浜松動物園にも、ライオンタマリンとレッサーパンダはいるけどキツネはおりません。でも、大草山には確かに狐が潜んでいてもおかしくないような竹の茂みがいっぱいあります。そしてこの間わたくし、花乃井の従業員駐車場でも、キツネを見ましたよ。やっぱりいるんだ。
(利根川)
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