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伊豆修善寺温泉 新井旅館のお知らせ・ブログ
「日本画家 広瀬長江画伯」からの葉書 読み下し
更新 : 2022/2/19 11:57
明治44年2月17日に頂いた「日本画家 広瀬長江画伯」からの葉書の内容です。
「御着京後之御機嫌如何御伺申上候
御出立之夜より之風雨にご案じ申候
当方鷺娘少し失敗候へども兎も角も出来
それより渡辺氏の林間紅葉を炷く図に
着手いたし候 御手軽にすまされず頗る
ゴテて只今漸く草稿落成明日より絹にかゝる
筈に候 鷺娘は紅児会出品に拝借し度く
存じ候 聖人隠居親分等と御会見之折面白
き事候はば御もらし願上候
新井旅館三代目相原寛太郎が修善寺から東京へ出かけた際、新井旅館滞在中の「広瀬長江画伯」が相原寛太郎に出した葉書です。
「鷺娘」は歌舞伎や日本舞踊などに使われる演目なので、その女性を描いたのかと思います。
広瀬長江画伯は江戸風俗画などを多く描いており、新井旅館にも多く作品がのこっていますが、残念ながらこの「鷺娘」は、新井旅館には残っていませんでした。
渡辺氏とは、前田青邨画伯からの近い日の手紙に、「渡辺健二郎氏と待ち合わせたが会えず」という文章がありまして、新井旅館に滞在していた美術関係の方なのかと思います。
「林間紅葉」は、「林の中で紅葉を集め、その焚き火でお酒などを温めて飲む様」で、秋の風流な楽しみを構想し、絹本で仕上げていく予定だったのかと思います。
「鷺娘」は相原寛太郎からの依頼で作成のようですが、この後3月19日から開催される「第14回紅児会」に出したいので、ちょっと御貸し下さい。
と書かれています。
「聖人隠居親分」は、明治43年12月から横山大観画伯が沼津千本ホテルにご夫婦で宿泊されており、同じく沼津には安田靫彦画伯が療養され、そのそばには今村紫紅画伯もいらっしゃったので、聖人は横山大観画伯・隠居は安田靫彦画伯・親分は今村紫紅画伯ではないかと・・・
東京に向かう前に沼津でお会いしたのかもしれません。
新井旅館には、昔の文人墨客の方々の手紙やはがきが数多く残っています。昔の方は筆まめの方が多く、日にちが近い手紙を見ていくと、当時の方々の動向がよくわかったりします。
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