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文學散歩のすゝめ
更新 : 2015/2/20 11:17
北陸新幹線の金沢開業まで残すところ22日となりました。報道によれば、指定席券の発売が開始された2月14日には、3月14日の一番列車のチケットが金沢発、東京発共にわずか25秒で売り切れてしまったそうです。否が応でも日に日に盛り上がって来ている北陸新幹線熱ですが、ここにきて残念なニュースが1つ飛び込んできました。東京―金沢間はわずか2時間半の距離ですが、トンネルの区間が非常に多いため、そのうち1時間はスマホや携帯電話などが圏外で利用できないんだそうです。ネットが利用できないのであれば、どうやって時間潰しをすればいいのか…。となれば、そこはやはり、原点回帰の読書ではないでしょうか!快適な空調、座り心地の良い椅子が完備された車内は、読書には最適の空間です。折角ですので、金沢を舞台にした作品をいくつかご紹介いたします。
まず、金沢の文學と言えば、室生犀星、泉鏡花、徳田秋声の3名の名を挙げないわけにはいかないでしょう。いずれも金沢にゆかりのある作家で、「金沢三文豪」と呼び称されています。当館近くにある白鳥路にはこの三文豪の像が立てられています。また、市内にはそれぞれの作家の記念館の他にも、記念碑やその作品に出てくる登場人物の像などが点在しています。彼らの作品を読まれてから金沢の街を散策されますと、より一層楽しめることでしょう。
金沢の観光地として最も有名なのは兼六園ですが、この兼六園も様々な作家の作品中に登場しています。代表例としては、芥川龍之介の『金沢にて』や中原中也の『金沢の思ひ出』などが挙げられるでしょうか。他にも、三島由紀夫の『美しい星』の舞台の一つとしても金沢の兼六園が作中に描写されています。
他にも金沢が舞台になっている作品は多々ありますが、最近の作品で比較的読みやすいものとして一押しなのが、米澤穂信の『ボトルネック』です。ちょうど新幹線の車内で読み切れるほどのボリュームですし、金沢の街の有名なスポットがいくつも登場しますので、こちらに観光に来られる際に読むと主人公の軌跡を追体験して楽しめるかもしれません。金沢駅の鼓門や21世紀美術館に対するシニカルな描写はなかなかに面白いものです。ただし、内容はかなりブラックな青春小説ですので、耐性のない方は要注意ですが…。
観光という非日常と、その非日常空間を舞台とした作品との相乗効果で、より一層金沢という街を楽しんでくださいませ!
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