１０年前、私たちは大きなものを捨てました…


それは当時の私たちにとって、とても重要なものでした。 　　
それを守るために多くの時間や労力を費やし、そのために毎日奔走していました。


でも、ようやく気付いたのです。それが大きな間違いであったことに…


ご挨拶が遅れましたが、私はお花見久兵衛女将の吉本加代子と申します。


大変お恥ずかしいお話ですが、
正直当時の私たちは自己満足だったと言われても仕方がありません。

あなた様をはじめとしたお客様には全く関係のないもの…
そう、それは旅館としての「プライド」や「見栄」。
こんなものにばかりに目を向け、
温泉旅館は伝統的でなければならないなどと、
自分達を守ることに必死だったのですから。


そして…

既製品とボリュームばかりが多い会席料理、プライベートを無視した押し売りのような接客、違いのわかりにくい料金設定など、
お客様のことを考えていないサービス。


これらがお客様のニーズとかけ離れていることに気付いた、２００２年。
私たちはプライドと一緒に、４０年以上続いた「山水閣」という伝統的な旅館名を捨てました。

そして自分達以上に、お客様のことをもっと見つめなければならないと決心したのです。


今のお花見久兵衛は決して、いわゆる伝統的な温泉旅館ではありません。

ですので、
もし、あなた様が、伝統的な会席料理や、
手厚く濃厚なおもてなしをお求めだとしたら、
お花見久兵衛はふさわしくないかもしれません。


形やルールなどにとらわれず、お客様が求めているものをご用意し、楽しい思い出作りのお手伝いをする。そして、温泉旅館がもっと身近で、気軽に楽しめることに気付いていただく。


これがお花見久兵衛の目指す旅館像なのです。


でも、もちろん今まで培ってきた大切なサービス・品質を変えるつもりはありません。


なぜなら、
「伝統を大切にすること」と「変化をしようとしないこと」は全く別だからです。

時代がどんどん変わっていく中、旅館としての大切な心構えを守りながらも、
お客様のニーズに合わせて変わり続けることができる。
そんな旅館を目指して参ります。


このたびは
お花見久兵衛にご興味をお持ちいただき本当にありがとうございます。 　　

今回あなた様のご旅行が楽しい思い出となりますように…


女将　吉本加代子