宿番号:375808
堂ヶ島 ニュー銀水のお知らせ・ブログ
特別な二人の、特別な鐘の音♪
更新 : 2010/2/9 16:54
土肥金山が最盛期だった遠い昔、土肥屋形の集落(現在、花時計のあるあたり)に福太郎という漁師がいた。福太郎は年老いた両親をかかえ、小舟で朝夕漁に出ていた。 一方、小下田の米崎という集落には、およねという娘がいた。およねもまた老いた両親に代わり小さな畑を耕して細々と生計を立てていた。
福太郎とおよねは土肥の朝市で出会い、たちまち恋におちた。しかし福太郎の住む土肥の村から、およねの住む米崎までの道のりは遠くそして険しい。互いに老いた親をかかえる身でもあったので、二人が度々逢うことは叶わなかった。 福太郎に出会って以来、およねは毎日近くの神社に詣でて願をかけた。
雨の日も、風の日も、『きっと福太郎と結ばれますように・・・』と、およねは願い続けた。
そんなある日、いつものように願を掛けていると、どこからともなく声が聞こえてきた。 「およねや。今ここにふたつの鐘を授ける。 福太郎とひとつずつ持ち、互いの愛を伝え合うがよい。」 驚いたおよねが目を開けると、そこにはふたつ、寄り添うようにして鐘が置かれていた。
神さまの声に違いないと思ったおよねは、その鐘を大事にかかえて福太郎のもとへと向かった。福太郎は、およねの話を何ひとつ疑うことなく聞いて鐘を受け取り、漁に使う小舟の舳先(へさき)に取りつけた。
朝タ、福太郎はおよねのいる米崎沖を通り黄金崎まで漁に出ていたので、およねは毎日その時分になると、海を見渡せる岬に立ち、授かりものの鐘を三度鳴らした。
それにこたえて福太郎も舳先(へさき)の鐘を三度鳴らしこたえた。
逢いたくても逢えない二人は、このようにして互いの愛を伝え合った。視界の悪い霧の日には、およねの鐘が灯台の役目をして福太郎の命を救ったこともあったという。 いつしか二人の恋物語は、米崎の村人の間でも評判となっていた。
それから二人は、村人の協力もあってついには結ばれ、仲睦まじく、いつまでも幸せに暮らしたという。
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