京浜東北線の南行きを待っていると、時折蒲田止まりに
出くわします。
蒲田で車庫に入ってしまう電車と、折り返しで東京方面に
戻ってゆく電車がありますが、車庫に入ってしまう電車が
ある作品のプロローグになっています。

松本清張の『砂の器』
国鉄蒲田操車場で発見された他殺体（←緒形拳さんでした）。
推理小説にとどまらず、ある罹患による差別と偏見。
話のスジが縦横に張り巡らされて見ごたえ十分な作品でした。

京浜東北線車両がたくさん並んでいる車庫の光景。
国鉄がJRに改組され、水色一色だった電車がステンレスのしゃ
れたデザインになり、街並みが少しずつ変化して、見える風景
との時の差を感じさせます。失われた東京の風景に思いをはせる
とき、この街の変化を楽しむ事が出来るでしょうか。

蒲田駅をはさんだ反対側には、かつて松竹蒲田撮影所のあった
場所。関東大震災で被害を受けた後大船に移転するまで、いくつ
かの作品がここで生み出された。そこはアプリコという再開発され
たビルとなっていて、昔日の面影はない。