東京駅から歩いてすぐ、丸の内の街並みに溶け込むように佇む「ブラッスリー・ヴィロン」。店に入ると、まるでパリのビストロに迷い込んだかのような雰囲気が広がっている。壁一面に並んだワインボトルが、クラシックな雰囲気を一層引き立て、木製のテーブルやアンティーク調の椅子が、どこか懐かしくも新しい。まるで時間がゆっくり流れるような気さえする。

ランチタイムに訪れた私は、シンプルなクロックムッシュを注文。サクサクに焼かれたパンに、たっぷりのチーズとハムが挟まれ、口に入れるとその美味しさが広がる。これこそ、シンプルだけど飽きの来ない味。ワインを一口合わせると、さらに味わい深くなるから不思議だ。軽く食べるにはもったいないと思いながらも、デザートに進むと、見た目にも美しいタルトタタンが目の前に現れる。甘さが控えめで、りんごの酸味が口の中で踊るように感じられる。

外の景色を眺めながら、ここで過ごす時間がゆっくりと贅沢に感じられる。仕事の合間に、あるいは大切な人と一緒に。どんなシーンにも似合うこの場所で、心も体も満たされる。まさにパリの空気をそのまま味わえる場所だと実感した。