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語り部・中江「正倉院展の楽しみ方とおすすめ宝物」
更新 : 2025/10/29 14:38
今年も正倉院展の季節がやってきました。
第77回を迎える今回は、蘭奢待(らんじゃたい)や瑠璃杯(るりのつき)といった教科書に登場する名宝がずらり。
和空語り部の個人的な注目は、木画紫檀双六局(もくがしたんすごろくきょく)。
聖武天皇愛用の双六盤で、紫檀を用いた豪華な造り。
さらに、駒やサイコロも併せて出陳されていますから、当時の宮廷遊戯が目に浮かびますね。
聖武天皇の死後、光明皇后は天皇遺愛の品々約600点を東大寺大仏に奉納しました。
この双六局もその一つで、目録『国家珍宝帳』には「夫と共に使用した宝物を見ると涙が溢れる」との記述が残り、皇后の深い想いを今に伝えています。
正倉院の魅力は、美しさだけでなく「1300年前の人が実際に使った実感」が残っていること。瑠璃杯で葡萄酒を味わう姿や、双六盤を囲む二人の笑顔を想像すれば、古代の息遣いが身近に感じられるかと思います。
当館東館ロビーでは、正倉院展の期間中だけ語り部特設コーナーを設けております。お勧め書籍はもちろんのこと、宿泊者様限定でお持ち帰りいただける解説プリントを無料配布中。今年の正倉院展はプリント片手に、ぜひ宝物の背景を知った上で楽しんでいただけたらと思います。
語り部・中江大志