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【全室朝夕部屋食】鹿遊ぶ若草山麓 露天風呂付客室が人気の料理宿

ハイクラス

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    【若女将日記】若女将の仕事を支える小さな相棒たち

    更新 : 2025/12/10 20:13

    若女将でございます。
    館内を歩き回り、着物の裾を整え、お客様のご到着をお迎えし、鹿たちの声にふと足を止める──。そんな一日の中で、実は私には“仕事の時だけそっと寄り添ってくれている小さな相棒たち”がいます。
    今日はその中から、特に思い入れのある3つをご紹介させてください。

    ひとつめは、べっ甲に小さなパールがあしらわれた簪。
    私が女将と同じ着物を着はじめた頃、母である女将から「これをつけてみたら?」と手渡して貰ったものです。
    簪の丸みのある光沢を見ると、当時の緊張や嬉しさがふっと蘇るようで、今でも「ここぞ」という時には必ず髪に挿します。
    鏡の前で簪がすっと収まる瞬間、背筋が伸び、気持ちがすっと澄んでいく。私にとっては、気合いを入れるための大事な相棒です。

    ふたつめは、辰のストラップ付きのボールペン。

    姉と色違いでお揃いにしたもので、辰年に一緒にお仕事を始めた記念に選びました。
    私の辰は働き者すぎたのか(笑)、あちこちのパーツが取れに取れて、今ではすっかり“ナマズ”のような姿に。それでも胸元に差したペンを見るたび、姉との「あの時」を思い出し、少しだけ心が柔らかくなるのです。

    3つめは、のりこぼしの一刀彫りの根付けがついた栓抜き。
    お水取りが個人的にとても好きな私に、女将がずいぶん前にくれたもので、手に馴染む大きさと、小さな根付けの木の質感がとても愛おしいのです。
    これを帯に挟んでいると、いつでも女将の気配に守られているような、そんな安心感があります。

    実は、ボールペンと栓抜きは、仕事中は常に身につけています。
    胸元にボールペン、帯には栓抜き。
    この二つが“ちゃんとそこにある”だけで、きゅっと身が引き締まるような、不思議な力をくれるのです。慌ただしい日でも「大丈夫、今日も丁寧に」とそっと語りかけてくれるようで、相棒という呼び方がぴったりです。

    こうして並べてみると、どれも決して派手なものではありません。
    けれど、毎日の仕事の中で少しだけ背中を押してくれたり、落ち着きを取り戻させてくれたりする、大切な存在。
    これからも大事に、そして丁寧に使っていきたいと思います。
    今日も私の小さな相棒たちとともに、心を込めて皆さまをお迎えできますように。

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