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“麻呂子親王伝説”の七仏薬師巡り 〜施薬寺編〜
更新 : 2008/12/29 11:02
伝説の多い丹後に、その一つとして存在する
“麻呂子親王伝説”は、用命天皇の
第三皇子として生まれた麻呂子親王が、
勅命を受けて鬼退治に行くのですが、
道中で、かの天照大神による数々の不思議な
出来事に遭遇したり、薬師如来の加護を得るために
自らそれを彫刻し、鬼退治を成功させた末に
七つの伽藍を建てて帰京した…というお話です。
では、彼が建てたというその七つの寺とはどこでしょう?
「七仏薬師巡り」と題し、当地を実際に訪ねて
薬師如来やお寺の秘宝を紹介していきたいと思います。
魅力ある丹後の薬師寺、伝説が生まれる由来を探りましょう♪
さて、七仏薬師が結局どこか、といいますと、
それは、京丹後市にある等楽寺にある縁起よれば
第一は加悦庄の「施薬寺」、第二は河守の「清園寺」、
第三は竹野の「元興寺」、第四は宿野の「成願寺」、
第五は溝谷庄の「等楽寺」、第六は竹野の「神宮寺」、
第七は加佐の「多禰寺」であるということです。
まず、第一の「施薬寺」を今回訪ねてみたいと思いますが、
こちらは、国道178号線を「加悦道の駅」の
福知山寄りの交差点を右折し、但東へ行く府道の登り坂に
わかりにくい入口ですが鐘楼がちらりと見える細道を上がり
階段を上がった所にあります。
かつて焼けてしまった本堂は
寄せ棟造りの簡素な物として再建されています。
施薬寺は真言宗の寺院であり、当寺に伝わる縁起は
江戸時代(元禄十年1697)に書かれたもので
かなり達筆で書かれている為読みにくいのですが
最終章に、貞享年中奥瀧助左右衛門という
老翁の語りとして、権現山に蔵王権現を観請して
施薬寺の鎮守としたとの記述が有ります。
権現山は、標高527mの加悦と但東に跨る山で
中世の修験寺院としていくつも坊があったそうですが
やがて現在の場所に移り、施薬寺となりました。
本尊の薬師如来像、愛染明王像は文化財の指定を受けています。
また、与謝蕪村が子供の頃に預けられた寺とも言われ、
蕪村の大作「方士求不死薬図六曲屏風」が伝わっています。
静かな施薬寺の回りの家並みでは、
滝川の流れだけが響いています。
昔も今も変わらないのは、川の流れだけかもしれません。
※資料:丹後郷土資料館、薬師信仰による。
島田通信員