ちりめん街道で有名な与謝野町では、「昭和モダンとシルクの里　鉄幹・晶子ゆかりの町　美心（うつくしごころ）与謝野」を観光ビジョンとして、与謝野鉄幹・晶子の夫婦をポスター・パンフレットのロゴ・イラストに採用しています。写真は与謝野夫婦が与謝野町を大正から昭和にかけてたびたび訪れる縁となった鉄幹の父親の礼厳（れいげん）が少年時代の５年間修行をした浄福寺とお寺から徒歩３０分ほどの距離にある温江（あつえ）の与謝野礼厳追念碑です。与謝野礼厳は温江の生まれで、明治維新のさいに廃仏棄釈を理由に山陰地方の仏教寺院が弾圧されたさいに新政府に官僚たちと粘り強く交渉して救出に成功した浄土真宗本願寺派の僧侶で、歌人として多くのすぐれた作品も残しました（フリーサイトの青空文庫で読めます）。与謝野町は与謝野晶子の生誕地である堺市と観光をとおした町おこしで提携しています。与謝野町観光課の方のお話によると与謝野晶子の娘さんがご高齢にもかかわらず元気にしておられ、観光課の方が堺市の与謝野晶子の記念館を訪問したさいに、与謝野鉄幹・晶子は熟年夫婦が旅行をしてポエムをつくるという、流行を先取りするモダンなカップルであったことを熱く語られたそうです。 　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　雅良生