丹後半島には宇良神社、嶋子神社をはじめとして浦島太郎の遺跡が数多く残されていますが、栗田半島にはホテルから車で数分の距離にあるこの浦宮神社があるきりで、興味深い伝承も残されていません。事件当時の政府首班で浦島太郎についての調査団を組織したとされる藤原宇合が詠んだ歌の内容である梶島の推定地が近隣にあるだけです。ところで年表でみると、藤原宇合は浦島太郎が帰国する少し前に亡くなっています。ということは浦島太郎が帰国する前から、彼が龍宮城から帰ってくるという情報が日本に伝わっていたと推定されます。日本各地に残る浦島太郎にかかわる遺跡も、当時の政府が龍宮城（古代から中世にかけてベトナムの海岸部に存在した都市国家チャンパを日本では龍宮城と呼んでいた）から帰国した浦島太郎を生きたまま捕獲するために全国展開した作戦の遺跡ではないかと雅良生は想像します。 雅良生