皆様こんにちは。

7年前の8月20日。
未明に広島市で発生した土石流災害で、77名の尊い命が一瞬で飲み込まれました。
その痕跡は、山肌等に今も残っています。

「50年に1度の大雨」が、最近では毎年のように各地で発生しています。

広島では、3年前の西日本豪雨災害。
県内で120名以上もの犠牲者を出し、道路や鉄道網は寸断され、一時広島は陸の孤島となりました。

今月お盆から続いた大雨の降水量は、その西日本豪雨災害をも上回ります。
やはり土石流による被害や河川氾濫が報告されていますが、各地に設けられた砂防ダムが、すんでのところで私達の命を救ってくれました。

土石流発生件数を県別で見たとき、広島県が特段多い訳ではありませんが、発生の度に甚大な被害が生じるのは、独特の地形にあります。

「花崗岩」

宮島を含む広島県の74％は、この花崗岩と、同質の岩で形成されています。
「広島花崗岩」と専門用語が付き、県の石にもなっています。
「御影（みかげ）石」とも呼ばれ、壁面や墓石等に使われます。

その花崗岩が風化すると「マサ土」となります。
マサ土は水を通しやすい特長があり、斜面が大雨で大量の水を含む事で発生する表層崩壊により、土石流が発生します。
人口の割に平地が少ない広島では、斜面近くにも住宅地がある事情もあります。

土石流を防ぐ為、広島では至る所に砂防ダムが設けられ、私達県民を守っています。
宮島にも砂防ダムはあり、代表的なのは紅葉台公園そのものです。
宮島も土石流で被災した過去があります。

しかし、花崗岩には恵みもあります。

まずは温泉
私共含む広島の温泉は殆どが「単純鉱冷泉」です。
花崗岩から染み出した水分に「ウラン」「ラジウム」等の温泉成分が含まれおり、私共では源泉を加熱して提供しています。

そして地形
その恩恵を最も受けているのが、ここ「宮島」です。
宮島も全体が花崗岩で形成されています。
その花崗岩に節理という亀裂が生じ、そこに雨水による風化で宮島の島影が現在のような形になります。
観音様の顔をしたお姿は、花崗岩の特長によって生み出された奇跡の作品と言えます。

孫氏の兵法に「敵を知り、己を知れば、百戦危うべからず」と、あります。
大切な土地で暮らす上で、利点とリスクを考えて、上手に付き合いながら、いざという時に備える。
生活を守るのは、私達自身の心構えです。