日本橋の和雑貨・和体験
榛原

日本橋交差点の南東角にあるのが、日本橋で200年続く和紙舗。明治初期の郵便創業期には、一部の官製はがき製作を政府より請け負ったことから、はがきや便せんの発祥に関わる店の1つともいわれているんですよ。
2015年に新しくなった建物は全体に菱形の文様(柄)があしらわれていて、陽の当たる時間や照明によって浮かび上がる影が変わっておもしろい!この「色硝子」という柄は明治大正期から榛原に伝統的に伝わる文様で、沼に自生する菱の実を紋様化して幾何学的に配置した柄なんだそうです。店内にはこの文様があしらわれた商品がたくさん並んでいます。
お気に入りの表紙を選んでいつも持ち歩きたい「御朱印帳」

御朱印は、言わずと知れた神社やお寺にお参りしたときの証として授けていただけるもの。全国津々浦々、じっくり巡って御朱印をいただくには御朱印帳を一冊は持っておきたいですよね。これから寺社仏閣めぐりをしてみようかな?と思っている人にも、宗派で分けたり、2冊目を考えている人にもおすすめです!
長きにわたり紙を扱っている老舗だけあって、毛筆で滑りがよく書きやすい紙を使用しているのも特徴のひとつ。そして、千代紙で仕立てたオリジナルデザインの表紙バリエーションがかわいい!お出かけをするときに持っていくものでもあるので、せっかくなら好みの表紙を選びたいですよね。
「色硝子 赤」は、榛原を代表する色硝子柄、「六花 赤」は、江戸時代以降に大流行したという華やかな雪の文様、「桜 赤」は江戸風の満開の桜を絵柄にしたもの、「朝桜 桜色」は春の朝霞の中で咲き誇る、桜の可憐な姿を紋様化したものです。
ほかにも合計30種類近いバリエーションがあるので、ぜひお気に入りを見つけてくださいね!
身近な人への伝言メモに「ちいさい蛇腹便箋」


各折り目にミシン目が入っており、好みの位置で切ることができるのがこの「蛇腹便箋」。オフィスなどで一筆メモを書くときや、お礼の一言をカジュアルに添えるときにぴったりの便箋です。気軽に使うものなのでシンプルに好みの絵柄を選ぶのもいいですが、夏にぴったりの「波に鳥」や、春から初夏までにしっくりくる「牡丹」など、季節と合わせるとより一層楽しいのでは?
これらのレトロな箱の図案は、明治期に作られた榛原千代紙をもとにデザインされたものなんですよ!
ペンなども入れられるつづり箱入りの「蛇腹便箋」

文箱としてペンや切手と一緒に収納し、思い付いたときにいつでも使えるようにつづり箱に納められている蛇腹の便箋。重陽(ちょうよう)とは菊の節句のことで、9月9日を指します。
近年ではあまり目立たない節句ですが、邪気を払って願掛けやお祝いをしたり、良いことがあるかも知れない前触れともされていたので、秋のお便りやこの季節のお誕生日などの祝いごとで一筆したためるときに使うと、非常に粋です♪
「型染柄ぽち袋」は一筆箋入れにもできて万能

ぽち袋は、「伊勢型紙」といって友禅やゆかた、小紋などの文様を染める際に使った型紙で、榛原に伝わるデザインから選んでいます。かしこまったお年玉やお祝いだけでなく、食事会や飲み会の精算で幹事さんに渡す時などに使うのも、むき出しのお金をやりとりするよりも格段に上品に!一筆箋などを入れるなど、自分好みの使い方をアレンジしても素敵ですね。
梅はご存知のとおり春の兆しが感じられるころに、桔梗は新緑のころにぴったり。ふくら雀は、寒い冬に羽をふかふかと逆立ててまん丸になっている様子がかわいい!冬を表すだけではなく、豊かさや繁栄、豊作を象徴して縁起が良く「福来雀」や「福良雀」(ふくらすずめ)と書くこともあるモチーフなので、おめでたい時に使いたいデザインです!
因州和紙にシルクスクリーンで絵柄をのせた「榛原復刻図案ぽち袋」

最後は復刻版のデザインをあしらったぽち袋。写真左の、福を招き商売繁盛の縁起を担ぐまねきねこは明治時代に販売されていたものをもとにしたもの、右のいぬ張り子は安産や無病息災、魔除けを祈願するモチーフで大正時代に販売されていたものをもとにしているそう。
時代を超えても変わらず愛され続けることで、伝統になっていくのかもしれませんね。
[TEL]03-3272-3801
[住所]東京都中央区日本橋2-7-1 東京日本橋タワー
[営業時間]【月~金】10時~18時30分【土・日】10時~17時30分
[定休日]祝日・年末年始
[アクセス]都営地下鉄・東京メトロ 日本橋駅より徒歩1分
「榛原」の詳細はこちら
鶴屋吉信 TOKYO MISE

コレド室町3の1階に、京都に本店を構え200年以上の歴史をもつ老舗和菓子店の鶴屋吉信TOKYO MISEがあります。
ここには、目の前で職人が季節の生菓子を作って提供してもらえるカウンター席の「菓遊茶屋」が併設されていて、会話も楽しみながら京菓子文化に触れることができるんです!
取材日は、職人の梅津さんにお話を伺いつつ生菓子を作っていただくことができました。
「福桜」ができるまでの手元に密着!

この「福桜」ができるまでを見学します。

白小豆と手亡豆(てぼまめ)を蒸したあとに漉して、お砂糖や上用粉などを混ぜた、「こなし」と呼ばれる素材が生菓子のベースとなります。関東では「練りきり」と呼ばれることも。
これに食紅などで色を付けたものを使って、さまざまなパーツを作っていきます!

目にも留まらぬ早さでこなしをふっくらとした形に丸めたあと、細い三角柱のような道具で立体的にくぼみを作っていき、5枚の花びらを形どっていきます。

桜の花びらの形になるように指の丸みを使いながら調整。「花の形を知らないことには作れない。昔はよく散歩の途中で観察したりスケッチすることもありましたよ」と梅津さん。
半月ごとに生菓子のモチーフが変わるのですが、期間中は常に3~4つほどをメニューにしているため、季節ごとの花や動物、風景などイメージをたくさんストックしているそうです。
花びらの先端に小さな切り込みを入れて、より本物の桜らしく作りこんでいきます。ちなみにこの切り込みを入れている道具はご自身で作られたものだそう。
「決まった道具というのはさほどそれほど数が多くないので、自分の手に馴染むものを削ったりしてこしらえるんです」と言う。和菓子職人が作るのはお菓子だけではなく道具もだったとは、思わぬ発見!
続いて、「ほぼ桜の形になったけれども、ほんのちょっとアクセントを足すだけで一気に完成度が上がるんです」と、黄色いこなしを金あみで裏ごしして細かいそぼろ状になったものを菜箸でつまみ花の中心へ。繊細な手仕事!

「福桜の完成です。可愛らしくなったでしょう。お抹茶と一緒にどうぞ!」

漆塗りのお皿に黒文字と呼ばれる菓子楊枝を添えて、お抹茶とともに出していただき、あらためて感激!見ている分にはなんだか自分にも作れそうな気がしてくるのですが、それは熟練職人の手さばきを見ているがゆえの勘違い。一人前になるには10年はかかると言われているそうです。
ちなみに一緒に出てくる抹茶は、こちらも京都の老舗茶舗「一保堂」のお茶で、渋味と苦味とほのかな甘味がふくよかに感じられます。生菓子の甘さとなめらかさが、お茶を一層まろやかにしてくれて非常に滋味深いです!
繊細の極み!菜種きんとんの作り方

きんとんふるいという、こなしのそぼろを作る専用のふるいを使って、黄色と緑のきんとんあんをふるいの表から裏へギュッと通してそぼろを作ります。

中心はキュッと、表面はふんわりとそぼろをあしらって、菜種きんとんの出来上がり!
好きな餡を好きなだけ!彩りかわいい「IROMONAKA」

パステル調の、薄紅(桃色)・カナリア(黄色)・勿忘草(水色)・胡粉(白色)・丁字(薄茶色)の伝統色5色の最中だねに、丹波産の馬路大納言小豆でつくった贅沢なこしあん・同じく馬路大納言小豆だけでつくった小倉あん・芳醇な香りでさわやかな苦味が印象的な抹茶あんの3種類がセットになっています。
お菓子としてのクオリティはもちろん、作りながらついつい写真を撮りたくなるビジュアル!女子会のお持たせなどで、みんなで作りながら楽しむのもよさそうですね。
[TEL]03-3243-0551
[住所]東京都中央区日本橋室町1-5-5 コレド室町3 1階
[営業時間]10時30分~20時(L.O. 19時30分) ※物販は10時~21時
[定休日]施設に準ずる
[アクセス]東京メトロ三越前駅より徒歩1分
「鶴屋吉信」の詳細はこちら
福徳神社(芽吹稲荷)

860~876年頃にはすでにここに存在したとも言われている福徳神社、別名芽吹稲荷。ビルが立ち並ぶコレド室町の裏側に、すっと視界が開けたところに鳥居が見えます。その一帯が福徳神社と福徳の森です。
神社の前にはコレド室町1とコレド室町2が並び、その間の「仲通り」が参道に。福徳の森にはシェードつきのベンチやテーブルがあり、木々を愛でながら休憩することも可能。都会の中で安らぎを与えてくれるような場所となっています。

江戸時代には、数少ない幕府公認の「富くじ」の場として栄えていたこともあり、宝くじ当選のご利益を求めてお詣りする人が多いそう。ほかには、ライブや舞台などのチケット当選祈願も増えているそうで、やはりたくさんの人が訪れるそうです。
福徳神社は今でこそ新しい社殿と鳥居、整備された空間となっていますが、戦後しばらくの間、都市化の波に押されて何度も場所が移転していたんです。日本橋再生計画が行われ、ようやく今のかたちに落ち着きました。また、この社殿を建てた際に、地下2階を防災用備蓄倉庫としていて、現在は飲料水や食料が1万6000食ほど保管されているそう。
ご利益だけでなく人々を守ってくれる、最新の神社とも言えますね!

福徳神社の御朱印はこちら。御祭神と御由緒が書かれた紙とともに御朱印が授与されます。10時から15時までの授与となっていますので、時間にゆとりをもってお詣りしてくださいね。
[TEL]03-3276-3550
[住所]東京都中央区日本橋室町2-4-14
[営業時間]【授与所】9時~17時(元日 0時~17時、1月2日~5日 10時~17時)【御朱印受付】10時~15時
[定休日]なし
[アクセス]東京メトロ 三越前駅より徒歩1分
「福徳神社(芽吹稲荷)」の詳細はこちら
日本橋クルーズ(R)

開放感抜群のオープン船に乗って、東京・日本橋周辺をめぐるお手軽クルーズが楽しめます!乗り込む船は定員44名のオープン船で、シートも柔らかくてクルーズ中も快適。なんとトイレもついているので安心です。
写真の日本橋船着場をスタート地点にして、日本橋川~亀島川~隅田川~中央大橋~永代橋~清洲橋手前をUターン~豊海橋~と巡って日本橋船着場に戻ってくる45分でめぐるコース。この船着場からの景色もテレビなどでよく見るおなじみの光景で、テンションが上がります♪

クルーズ中はガイドさんによるアナウンスもあり、見どころやシャッターチャンス、豆知識なども聞きながら風景を楽しむことができます。

「日本橋」「湊橋」「豊海橋」など日本橋周辺の川を代表する橋をくぐり、「隅田川大橋」をくぐると「清洲橋」とコラボした東京スカイツリー(R)のシャッターチャンスが!
あっという間の45分ですが、真夏以外は水辺が意外と冷えるので、はおりものなど一枚多めに持っていくことをおすすめします!冬場は首元や足元までしっかりとした防寒をお忘れなく。
[TEL]03-5679-7311
[住所]東京都中央区日本橋1-9-先 日本橋船着場(日本橋川)
[営業時間]10時~17時(受付)
[運航予定]運航情報は下記ホームページ内「運航予定表」参照
[アクセス]東京メトロ 三越前駅B6出口より徒3分、都営地下鉄・東京メトロ 日本橋駅B12出口より徒歩5分
「日本橋クルーズ」の詳細はこちら
■まとめ
再開発が活発に行われて、日本の古き良き伝統と、現代の新しいテイストがミックスして再発見が楽しい日本橋。
最近、足が遠のいていたあなたも、まだ行ったことがないあなたも、次のおでかけでぜひ気になるスポットを訪ねてみてくださいね!
※価格はすべて税込です。飲食店に関してはイートインやテイクアウトで税率が異なる場合がありますのでご注意ください。
※この記事は2020年3月時点での情報です
堀口 美帆
ご当地グルメや、話題のおいしいものを求めておでかけするママライター。そこでの暮らしを想像しながら旅行するのが好き。今日もマイ地図をながめて次の行き先を探しています♪