蒸気機関車(SL)とは、蒸気を使って走る機関車や列車のことです。電気やエンジンを使わず水と石炭を使って走るため、煙をはき、ときおり力強い汽笛を鳴らします。
1900年初期~中期では主流の列車でしたが現在は少なくなりました。そこで今回は、いまでも乗ることができる全国の蒸気機関車を紹介します。レトロな客車の内装や、車窓から見える景色などさまざまな個性を楽しんでください。
SL銀河(釜石線)【岩手県】
沿線を舞台にした有名小説の世界を感じられる

有名小説に登場する、星や動物たちをモチーフとしている機関車です。1号車には、テーマを表現するように光学式プラネタリウムを搭載しており、美しい夜空を堪能できます。

また、車窓には岩手県ののどかな景色が広がります。めがね橋など岩手県の観光スポット近くを通りながら、花巻~釜石まで遠野などを停車しながら1日1往復します。花巻駅では、地域の伝統芸能「鹿踊」のお見送り、釜石駅では郷土芸能「虎舞」の披露が見られることも魅力です。
※チケットはJRみどりの窓口、えきねっとなどで購入できます。また、運転日は限定されています。お出かけする際、最新情報は公式サイトでご確認ください。
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SLばんえつ物語(磐越西線)【新潟県~福島県】
「森と水とロマンの鉄道」。貴婦人の名にふさわしい気品があふれる

大きな駆動と細いボイラーの美しい姿から「貴婦人」の愛称がついた機関車は、新潟県新津から福島県会津若松にかけて走行しています。途中、野沢や喜多方などで停車します。
魅力は、美しい緑に囲まれた阿賀野川や四季折々の雄大な磐梯山を眺められることです。また、途中の津川駅では、機関車の点検や水の補給作業を行っている様子を見ることができます。4号車には郵便ポストがあるので、旅の記念となるはがきを車内から出してみてくださいね。
※チケットはJRみどりの窓口、えきねっとなどで購入できます。また、運転日は限定されています。お出かけする際、最新情報は公式サイトでご確認ください。
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SLぐんま みなかみ(上越線)/SLぐんま よこかわ(信越本線)【群馬県】
群馬県高崎駅を起点として走る2つのSL


群馬県にはSLが走る2本の路線があります。高崎駅から水上駅までを結ぶ「SLぐんま みなかみ」は、渋川駅などで停車しながら赤城山や利根川を眺められます。高崎駅から横川駅間を結ぶ「SLぐんま よこかわ」は、安中などで停車しながら急勾配のある碓氷峠を走ります。
走るSLは2種類あり、旅客列車用として造られた「C61(愛称:シロクイチ)と、貨物用に作られた「D51(愛称:デゴイチ)」です。高崎駅で購入できる、SL弁当を食べながら自然豊かな群馬の風景を楽しんでください。
※チケットはJRみどりの窓口、えきねっとなどで購入できます。また、運転日は限定されています。お出かけする際、最新情報は公式サイトでご確認ください。
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SL人吉(鹿児島本線・肥薩線)【熊本県】
エメラルドグリーンに輝く球磨川など熊本を満喫

SL人吉は、熊本と人吉間を6つの駅を停車しながら進みます。
熊本市内を出発した機関車は、のどかな平野を通過し徐々に雄大な景色に移り変わっていきます。美しい山々や、日本三大急流である球磨川(くまがわ)といった雄大な自然をしっかりと走り抜ける力強さは圧巻です。

車内のデザインは美しく高級感に溢れています。木の香り薫るクラシカルさ、本革が醸し出すボックスシート…。すべてが統一されており居心地も抜群です。
※大雨の影響による肥薩線不通に伴い、2020年7月4日より当面の間運転を見合わせております。お出かけする際、最新情報は公式サイトでご確認ください。
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SL「やまぐち」号(JR山口線)【山口県~島根県】
昔ながらの「汽車旅」気分を味わえる

山口県の陸の玄関口「新山口」駅から、大内文化の香り漂う「山口」駅、四季折々の情緒を楽しめる「長門峡」駅などに停車しながら、山陰の小京都「津和野」駅まで走ります。

2017年にリニューアルされた客車は、2018年度に「鉄道友の会」によるブルーリボン賞を受賞しています。(ブルーリボン賞:その年に運行を開始した車両のうち、最優秀と認められた車両に贈られる賞)
レトロさもありますが、各ボックス席へコンセントが設置されるなど充実した設備も喜ばれています。
※チケットはJRみどりの窓口で購入できます。また、運転日は限定されています。お出かけする際、最新情報は公式サイトでご確認ください。
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SLもおか(真岡鐵道真岡線)【茨城県~栃木県】
春は桜や菜の花、秋はコスモスの中を走り抜ける

茨城県下舘駅~栃木県茂木駅を結ぶSLです。途中真岡駅などで停車しながら進みます。
美しい田園風景や山間部を走り抜けますが、見どころは真岡駅周辺に広がるお花畑です。春は桜や菜の花、秋にはコスモスの間をゆっくりと走り抜けていきます。目の前に広がるその美しさは格別です。
昭和後期の客車を使用しており、SLの香りが漂うのも相まって懐かしさを感じます。定期的にイベント列車(ハロウィン、クリスマス)も走ります。※今年度は未定
※チケットは、公式サイトから予約をお願いします。運転日は土日に1日1往復。お出かけする際、最新情報は公式サイトでご確認ください。
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秩父鉄道 SLパレオエクスプレス(秩父鉄道本線)【埼玉県】
埼玉を代表する観光地「長瀞」や「秩父」にも停車

力強い汽笛を鳴らしながら、ゆっくり走るため埼玉の景色を堪能できる蒸気機関車です。通過するエリアによって、移り変わる景色を楽しめます。熊谷~寄居は住宅地や田園風景、寄居~長瀞は荒川近く、長瀞~三峰口は橋梁や山々を通ります。

内装は、レトロな雰囲気のボックス席です。季節ごとに車内イベントの開催も予定されています。
※2020年は蒸気機関車の検査のためSL運行はなし。2021年の運行情報やチケット購入については公式サイトをご確認ください。
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SL冬の湿原号(釧網線)【北海道】
釧路湿原の中を走行。タンチョウやオジロワシなど野生動物に出会うことも

毎年、1~2月頃(※運行日・時刻は要確認)に運行する冬限定のSLです。釧路~標茶間を、1日1往復します。
白い雪と黒い車体のコントラストが美しく、赤いタンチョウのシャッポ(頭)とSLヘッドマークが調和しています。運が良ければタンチョウやオジロワシなどの野生動物や、薄氷を乗せた釧路川などの大自然を見られることも醍醐味です。

壁や木枠などは、どこか懐かしい艶のある仕上がりになっています。

車内では景色を眺めたり、ガイドの案内を楽しむことはもちろん、石炭ダルマストーブでスルメなどを炙って食べるという貴重な体験もできます。
※チケットは、JRのえきねっとで予約できます。また、運転日は限定されています。お出かけする際、最新情報は公式サイトでご確認ください。
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SLかわね路号/きかんしゃトーマス号(大井川本線)【静岡県】
雄大な大井川、のどかな茶畑、鮮やかな緑の森林など自然豊かな沿線

SLかわね路号は、静岡県にある大井川本線の新金谷駅から千頭駅まで、途中家山駅などに停車しながらのどかな風景を走り抜けていきます。
約40体のたぬきの置物が迎える駅、露天風呂から入浴中の方が手を振ってくれる 温かくも面白い光景、大井川最長220mの「塩郷の吊橋」など見どころも満載です。

また、きかんしゃトーマス号は10月19日まで新金谷駅と家山駅の間を走ります。きかんしゃトーマスランチボックスを食べながら満喫してください。
※両機関車とも運転日は限定されています。お出かけする際、最新情報は公式サイトでご確認ください。
※チケットの予約は、公式サイトでできます。
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※この記事は2020年8月時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性がありますので、事前に公式ホームページなどで最新の情報をご確認ください。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください
※お出かけの際は、お住まいやお出かけされる都道府県の要請をご確認の上、マスクの着用、手洗いの徹底、ソーシャルディスタンスの徹底などにご協力ください。
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