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2023.12.11

書き初めの由来や意味とは?いつ行うのか?おすすめの四字熟語や言葉もご紹介

書き初め(書初め)とは新年のいつ、何のために行うものなのでしょうか。
また、お手本にしたい言葉や四字熟語には、どんなものがあるのでしょう。

新年の抱負や、目標とする言葉を書く、お正月の大切な風習である書き初め。この記事では、書き初めの由来や意味から、おすすめの言葉までご紹介します。

※この記事は2023年12月11日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。

記事配信:じゃらんニュース

書き初めの由来

書き初め

書き初めは、平安時代の宮中における「吉書の奏(きっしょのそう)」という行事がルーツです。

吉書の奏は、改元・代替わり・年始など、ものごとがあらたまった節目に、天皇に文書を奏上するというもの。
本来は行政手続きなのですが、内容は儀礼的で、政治がつつがなく進行しています…という慶賀を述べるものでした。

この吉書の奏は鎌倉・室町幕府にも引き継がれ、「吉書始め」という新年の儀礼行事として定着します。そのときの文書は、吉書奉行がすべて清書したそうです(もちろん毛筆で)。

吉書始め

江戸時代になると、この吉書始めが庶民の間にも「おめでたい新年に書道(習字)をする」という行事となって広がりました。
上の浮世絵は、歌川豊国によって1804(享和4/文化元)年ごろに描かれた、寺子屋での書き初めの様子です。

この時代は「筆算吟味」といって、たとえば幕府で要職に就くための試験科目は「書」と「そろばん(計算)」の2科目のみ。字が上手なことは大事な教養だったのです。

江戸時代には、自宅で書き初めをする場合、
年が明けて最初に汲んだ井戸水(=若水:わかみず)を神前に供えたあと、その若水を使って墨をすり、恵方に向かって詩歌を書く
というのがスタンダードだったとか。

新年の書き初めはいつ行うのが正しい?

書き初めは、1月2日に行うのが、現在では一般的です。

書道や茶道、三味線などのお稽古ごとは「1月2日から習い始めると上達する」と言われていて、この日を初稽古の日とする習い事は多いようです。

また、平安時代の「吉書の奏」は、単純に縁起の良い日を選んで行われていましたが、室町時代の「吉書始め」は、1月2日に大々的に行われていたので、その日にもちなんでいます。

新年に初めて汲む「若水」は神前に供えたあと、食事などさまざまに使うものでした。忙しい元旦の行事を終えて、あらためて2日に書き初めに使うのは、理にかなった使い方だったのです。

書き初めの意味

1月2日に書き初めをすることにはどんな意味があるのでしょうか。

書き初め

・書の上達を願う
新年早々に、神聖な若水を使って書くことで、神意にあやかり、字が上手になることを祈願します。

・一年の抱負を心新たにする
おめでたい言葉や詩歌、または今年一年の目標や抱負を書くことで、行動を新たにするという意味があります。

書き終わった書き初めは?

できあがった書き初めは、飾って読み返し、気持ちを新たにするといいでしょう。上の寺子屋でもいろいろな作品が張り出されていますね。
年神様が滞在する期間といわれる「松の内」(1月7日、または15日)までは飾っておくとよいそうです。

お焚き上げ

松の内が過ぎたら、「左義長」と呼ばれるお祭りで、正月飾りなどとともに燃やします。
左義長とは地域によって、どんど焼き、さいと焼き、とんど、鬼火焚きなどと呼ばれている行事のこと。
このとき、炎が高く上がれば上がるほど字が上達すると言われています。

もし近くで左義長が行われていない場合は、大きな神社のお焚き上げなどに奉納するのもいいでしょう。

おすすめの言葉や四字熟語

書き初めの言葉は、新年にふさわしいものであればなんでも構わないのですが、以下にいくつかおすすめの言葉をご紹介します。

書き初め

飛翔

2文字の書き初めの中では定番。縁起も良く、お正月にぴったりの言葉です。はね、点などが多く、バランスが意外と難しいかも!?

挑戦

これも新年の抱負としてはぴったりの言葉です。「挑」「戦」ともに、そりやはらいが多い文字。気持ちを込めて勢いよく書くといいでしょう。

時哉(ときかな)

「今がまさにその時!」というような意味。時が来ていることを自覚して今こそ研鑽せよ、といった自戒も込められた言葉です。

荷心香(かしんかんばし)

3文字の書き初めはバランスが難しいですが、意外性があって楽しいもの。普通の半紙に、あえて1行で書くのもアリです。
「荷心」とはハスの花のことで、泥沼の深いところから花を咲かせて良い香りを漂わせることから、「どんな状況でも自分らしさを見失わない」という意味です。

守破離(しゅはり)

これは茶道や武道などを習うときの心がけや、段階を表した言葉。
最初は教えをよく守り、次の段階ではあえて教わった型以外に挑戦し、最後の段階ではそれらすべてを超越して(離れて)自由自在の段階に行き着く…という意味。書道もそうありたいものですね。

一期一会

もともと禅の教えからきた言葉で、同じ瞬間は二度とはなく、日々はいつも一生に一度きりの出会いであるという意味。
漢字も難しすぎず、とめ、はね、はらいがバランス良く存在して、書き初めの定番です。

心機一転

何かをきっかけにして、気持ちが良い方に切り替わること。お正月にこそ書きたい言葉ですね。「心」という字が入った言葉は、書き初めや揮毫(きごう)などでよく使われています。

一意専心(いちいせんしん)

わき目もふらずひとつのことに集中し、粘り強く続けていくこと。ずっと続けている大事なことがある人なら、新年に決意を新たにするためにもおすすめの言葉です。

直感精読(ちょっかんせいどく)

ひらめいたこと、ピンときた直感はたいてい物事の急所を突いているから、それをマスタープランに設定して、細部を詰めていく…という意味。勝負事の心構えを説いた言葉で、棋士の方も好む言葉なのだとか。

転凡成聖(てんぼんじょうしょう)

これも禅から来た言葉で、平凡なものでも素晴らしいものになりうる、日常の中に悟りがある…というような意味。難しい言葉ですが、漢字そのものは込み入っていないので、書きやすい言葉です。

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ミキティ山田  ミキティ山田

旬な話題を求めて、いろいろな場所を取材・撮影する調査員。分厚い牛乳瓶メガネに隠したキュートな眼差しでネタをゲッチュー。得意技は自転車をかついで階段を登ること。ただしメガネのせいでよく転びます。