こんにちは。フォトグラファーの藍嶋しお(@mizutamahowait1)です。
私は毎日の中で発見した「ときめき」を写真として残しながら、SNSで発信しています。
撮影はテクニックも必要ですが、ときめく瞬間を逃さずに切り取ることも重要だと思っています。
そのため、今回はいつも自分がどんなことにときめき、シャッターボタンを押すのか、についてご紹介できればと思います。
読んでくださった方の、日々の中に紛れた「ときめき」を撮影するヒントに少しでもなればと思います。
ときめく瞬間1.春夏秋冬らしいモチーフ
ときめく瞬間2.曖昧な空気感
ときめく瞬間3. 季語を感じる風景
ときめく瞬間4.「色の名前(伝統色)」が散りばめられた日々の景色
ときめく瞬間をたくさん切り取ろう
ときめく瞬間1.春夏秋冬らしいモチーフ
日本に住む人々にとっては当たり前でもある四季。少しも立ち止まることなく移り変わり続ける季節の表情は、本当に魅力的ですよね。
四季の表情を写真に残していて強く感じるのは、なんでもなかったものが特別美しいものに感じるようになったり、その季節の苦手だった部分が逆に愛おしいものに感じるようになったりするということです。
春

春といえばなんといっても「桜」!
これはふと桜の木を見上げたときに、春の光の眩しさと桜の淡い色にときめいて撮った写真です。
春の眩しいけど優しい光は、たとえ写真からであってもエネルギーをくれるなぁと思います。
夏

この写真は中学三年生のときに行ったお祭りです。金魚すくいは言わずもがな「夏」という雰囲気があっていいですよね。
金魚すくいのような夏らしいモチーフの他にも、夏の写真にしか表れない「湿った空気感」にはいつもときめかされます。

秋

「芸術の秋」ともいわれるように秋は創作の季節でもあります。暑すぎず寒すぎない気温は写真を撮りに出かけるのにもってこい。
いつもより遠くまで行って見つけたコスモス畑は自分だけが知っている特別感ありました。自分で見つけた季節の表情はより愛おしく見えます。
冬

冬になると無意識によく撮ってしまっているのがマフラーです。マフラーにうずまる顔のラインやすこしクシャッとなる髪にもときめかされます。
雪も冬らしくて最高にかわいいのですが、間接的に冬を表現するモチーフは想像が掻き立てられて楽しいのです。
たとえば、車窓から見える波の荒いどんよりとした冬の海。額に飾られた水墨画のように感じるようにもなりました。

梅雨

春夏秋冬だけでなく、梅雨が見せてくれる景色は、ずっと苦手だった梅雨の雨さえも愛おしく感じさせてくれました。
肌にまとわりついてくるような鬱陶しい湿気は花々を優しく覆うベールとなり、降り続ける雨はビニール傘に模様を与えてくれる存在に。
不便さや憂鬱さを感じていた梅雨時期も、写真を撮っていると憂鬱とは感じないようになっていました。それは、気づけなかった季節の表情を知れたから。写真のおかげです。

ときめく瞬間2.曖昧な空気感
春夏秋冬のくくりのみならず、季節と季節のはざまに感じられる曖昧な空気感を写真に捉えていく作業もとても楽しいのです。

たとえば、これまでは何も感じることがなかった布団にできる影が、春とも秋ともいえず、ただただ温かく見え、温度を感じて、見惚れてしまったこともありました。

入道雲の青空でもない、寒々しい高い冬の空でもない、曖昧な色の空を見上げて、標識のコントラストに惹かれて思わずシャッターを切った瞬間もありました。
この色の空とその時感じた空気感は、もう二度と巡ってこないかもしれないと思うだけで、幸せな気持ちになります。
ときめく瞬間3. 季語を感じる風景
季語とは、俳句や連歌などで特定の季節を表すために読まれる語のこと。四季ととても関連の深いものです。
昔の人が実際に見て言葉で表した情景を、現代に生きる私たちも感じることができるのが季語の良さのひとつにあります。
時を経て、実際に彼らが見ていた景色とは少し違うものであったとしても、彼らとのつながりを感じながら世界を見てそれを写真に残すということが、とてもワクワクするのです。


春の季語。この言葉には、雨そのものと花が散る様子との二つの意味があります。どちらも「花の雨」という表現がしっくりきますし、とても風流ですよね。
桜は晴れでも雨でも、散ってしまったあとでもその美しさを楽しむことができる花。春は毎日桜の様子を見にいってしまいます。


夏の季語。「たくさんの蝉が鳴いているさま」。
夏が訪れると、ほとんどの方が耳にするのではないでしょうか。
セミの鳴き声が空から降ってくる感覚って今の私たちでも理解できると思います。ただ、その感覚を雨に例えて表してしまうセンスはとても真似できない。季語を考えた人って、ロマンチストですよね。


秋の季語。私はこの季語を聞いたとき、秋の山がまるでお化粧したみたいに美しく変身するから「山粧う」になったんじゃないかなと考えました。みなさんはどう思いますか?
どうしてこの意味になったのかということを考えるのも、季語の楽しみ方のひとつだと思っています。


冬の季語。特に冬の朝に見られる霞のかかった景色はなんとも儚げで、早起きした日は輪郭がぼんやりとした山を眺めてしまいます。
景色ひとつひとつに呼び名があると考えると、ただただ見ていた景色がより鮮やかに見えるような気がしませんか?
ときめく瞬間4.「色の名前(伝統色)」が散りばめられた日々の景色
日々、私たちは写真を撮影するとき、動きや形に意識がいってしまうことが多いと思います。だからこそ、それとは異なる視点、「色」で写真を撮り、表現できた時に心を掴まれるなと感じています。
その色の表現方法の一つとして、「伝統色」があります。
日本の伝統色の魅力は、表現の繊細さと色名の美しさだと思います。
下の画像は私が日本の伝統色の存在を知った、中学生のときに制作したものです。




https://twitter.com/mizutamahowait1/status/878931406432329730
「青」ひとつとっても、藍色や浅葱色など、複数の色が存在し、「青」と簡単には括ってしまえないほど、色は豊富で繊細だということが感じられます。
日本の伝統色の成り立ちや背景を含めた美しさを知り、撮影すると、自分が見ている世界は「こんなにも美しい色で溢れかえっているんだ」と改めて実感することができるのです。
ときめく瞬間をたくさん切り取ろう
自分が美しいと感じたものたちが、写真としてどんどん蓄積されていくのは、とても楽しいです。
今の季節の表情に敏感になり、
その次にやってくる季節もまた楽しみになり、
自分の周りに広がる景色を伝統色で考えてみたり。
写真をはじめてから、普通に過ごしているだけでは気づけなかったことをたくさん気付ける瞬間があり、確実に私の日々の世界が鮮やかになっています。
ぜひみなさんの写真生活を、「ときめく瞬間」でいっぱいにしてくださいね。

藍嶋しお
2003年生まれ、北海道在住のフォトグラファー。次々と移り変わってゆく四季それぞれが持つ表情や日常生活の中で見つけた 「キュン」 を撮影。”どこか懐かしい新しさ”を求め、伝統色や季語と現代の写真を組み合わせた作品なども制作し、SNSで発信している。
[Twitter]https://twitter.com/mizutamahowait1
[Instagram]https://www.instagram.com/5__shioo/
じゃらん編集部
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