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2021.08.21

マリトッツォ・ブームの発祥店「アマムダコタン」が新しく取り組む“サステナブレッド”とは?【福岡】

今、全国的に大流行しているローマの伝統菓子「マリトッツォ」。そのブームの走りとして注目されているのが、福岡市・六本松にある人気ベーカリー「amamdacotan(アマムダコタン)」です。その2号店として2021年4月にオープンし、人気を集める「DACOMECCA(ダコメッカ)」のおすすめメニューなども合わせて紹介します!

また今年に入り、話題となっているキーワードが“サステナブレッド”。同店で名付けられた新しい言葉で、SDGsのなかの食品ロスに対する取り組みを指しています。

今回は、トレンドの仕掛人・平子良太さんに、“パン屋にできるSDGs”について聞きました。聞き慣れない言葉に最初は「?」が浮かびましたが、お話しを伺ううちに、その魅力を知ることができました。

※この記事は2021年8月5日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。

記事配信:じゃらんニュース

マリトッツォブームの先駆け「amamdacotan」へ潜入!人気のパンも教えてもらいました

amamdacotan
「amamdacotan」。店前にできる行列は、もはや同店の代名詞
amamdacotan
ドライフラワーで覆われたセンス抜群の店内で、楽しくパン選びを。パン型のキャンドルなどグッズの販売もある

「amamdacotan」は福岡市・薬院「パスタ食堂 ヒラコンシェ」のオーナー・平子良太さんが手がけるベーカリー。2018年に、福岡のパンの名店「pain stock」とのコラボ店としてオープンしました。話題の「マリトッツォ」にいち早く着目したほか、パン屋とは思えないおしゃれすぎる!インテリアなど、一歩先行く独自のセンスで常にトレンドを生み出してきました。

店名の意味はアイヌ語で“小麦の家”。福岡市天神など繁華街から少し離れた六本松の住宅街に店を構え、連日、福岡のパンラバーたちが集まっています。国産小麦を使ったパンは食パンから看板商品のマリトッツォ、手作りの惣菜やソースなどを挟んだサンド系と多彩なラインナップ。

また平子さんは飲食店だけではなく、インテリアショップにも勤めた経験を活かし、店内の装飾も手がけています。料理を楽しむため演出された”映え”な空間も注目です。

「店内の装飾は、架空の世界に迷い込んだような世界観を表現にしています。ドライフラワーや流木、石を配した無垢な空間で、パン選びを楽しんでもらいたいなと。空間へのこだわりは併設のカフェにも詰め込んでいるので、焼きたてのパンなどを堪能しながら満喫してみて下さいね」と平子さん。

マリトッツォ
「マリトッツォ」は11時にプレーン・あんこ、12時に季節のフルーツを使った品などが焼き上がる
マリトッツォ
「マリトッツォ(300円・写真左奥)」。右奥から時計回りにあんこ、期間限定のメロン・ぶどう
ダコタンバーガー
「ダコタンバーガー(460円・写真上)」など。併設する「カフェ アマムダコタン」でイートインも可能

「やはり、おすすめは『マリトッツォ』ですね。ローマの伝統菓子をオリジナルで仕上げた自信作。ブリオッシュ生地にはサツマイモを練り込み、もっちりしっとりの食感。九州産ミルクで作った生クリームはコクと後味の爽やかなのが特徴です。ほかにも『ダコタンバーガー』などボリューム重視の惣菜系も充実していますよ」。

行列必至の2号店「DACOMECCA」。混雑を避ける時間帯やラインナップは?

DACOMECCA
「DACOMECCA」。こちらも行列店だが夕方以降は比較的、混雑を避けられるそう
DACOMECCA
店内は開放感があり、ワクワクするようなポップな雰囲気

2021年4月、九州の玄関口として栄える博多駅近くにオープンした「DACOMECCA」。福岡市内に2店舗を持つ意味を考え、「amamdacotan」とは真逆の空間とコンセプトを掲げています。

「店内の装飾もそうですが、パンの種類も大幅に違います。8割くらい違うんじゃないですかね。例えば、DACOMECCAは店内に炭場を作っているので、ソーセージなどの炭火焼きを挟んだ惣菜パンだったり、パティシエが作る本格的な菓子パンがあったり。150種類以上と、パンの品数も多いんです。23時まで開けているので、混雑を避けるには夕方~夜に来てもらってもよいかと。パンは随時焼きあげているので、品切れの心配もほとんどありませんよ」。

パンのラインナップは「サーモンの炭火焼きゴロゴロ夏野菜サンド(562円)」といった、ほかのパン屋では味わえない季節の魚を炭火で焼いたメニューや、抹茶のブリオッシュに濃厚な抹茶クリームを挟んだ「抹茶のトロペジェンヌ(360円~)」など、夏にピッタリな冷たいパンシリーズなども。

食品ロスへの新提案“サステナブレッド”をはじめたきっかけは?

イタリアンシェフの平子良太さん
イタリアンシェフの平子良太さん。福岡を中心に飲食店など6店舗を経営する

「福岡では『amamdacotan』『DACOMECCA』と2店のベーカリーで展開しています。最近は“サステナブレッド”のことで知ってもらえることも多く、これはSDGs(国連が定めた17の持続可能な開発目標)のひとつで食品ロスを減らす取り組みのこと。

この活動を福岡の人たちにも知ってもらおうと、はじめたきっかけは半年くらい前。東京に行く機会が増え、現地の企業の方々とお会いした時にSDGsに対する取り組みの事をよく耳にしていたんです。なかには、2年ほど前からサステナブルについて関心を持っていた人なんかもいて、取り組みが活発なことを知りました。

飲食店にとっても食品ロスは重要な問題なのに、なぜ福岡ではあまり浸透していないのだろう、と疑問を抱いたんです。しかも、今からさらに重要視され、取り組みが活発になることは間違いないとも。そこで福岡で、しかもパン屋でできる事はないか考えはじめたんです」。

東京で知ったSDGsの活発な動きと重要性。福岡で広めるために考えた方法とは

イタリアンシェフの平子良太さん
ベーカリーでは、パンに使う惣菜作りやメニュー開発を行う

「福岡に戻ってさっそく取り組もう、としたんですが、よく考えたら食品ロスを減らすことって自分のお店でも自然とやっていたことなんですよね。『ヒラコンシェ』でも、例えば余った野菜の切れ端を細かく刻んでスープやソースを作ったり。食材を無駄なく使い、いかに美味しく工夫してアップサイクルできるか、料理人としての腕が試される場面でもありました。

食材を余すことなく有効活用するのは、『amamdacotan』と『DACOMECCA』でも同じこと。特に両店では私自身が料理人ではあるのですが、パン職人ではないというのも大きい。丹精込めて焼きてくれたパンを捨てたくない、という職人に対する気持ちが特に強かったんです」。

イタリアンシェフの平子良太さん
「もったいないの精神で、パンを美味しく蘇らせています」

「それと、ちょっと気になったのがネーミング。以前は『再生パン』と言って販売していたんですが、なんだかイメージが良くない気がして。いっそ、親しみやすい名称に変えて、みんなに知ってもらおうと考えたんです。そこで思いついたのが、サステナブル(=持続可能)とブレッド(=全てのパン)を合わせた造語“サステナブレッド”

廃棄パンを再生させ持続させていく、そんな想いでこの名称を付けました。今年の3月にお店のInstagramで発信したことから、全国誌やテレビなど各メディアに取り上げてもらえるようになりました。知らずに取り組んでいる方、これを知って興味を持ってくれた方、様々な方がいらっしゃると思いますが、ほかの飲食店やみなさんのご家庭でも、もっと広まれば嬉しいですね」。

廃棄するのではなく、再生するパンへ。その美味しさもぜひ実感してほしい

amamdacotan
“サステナブレッド”の内容は日によって違うので、いつ来ても新しい出会いがある

「中に火が通らず、うまく焼けなかったブリオッシュはまるごと卵に浸してパンプリンに、パンの耳や切れ端をキッシュに活用したりと、工夫次第で全く新しいパンへと生まれ変わらせることが可能。売れ残ったパンなんかも、いかに“材料”として活用できるか、そこが職人の腕の見せどころですね。

時間と手間はかかるのですが、調理工程のなかで味に深みが生まれ、カリカリっと程よい食感が加わるものも。お客さんには、より美味しく食べてもらえるのも魅力だと思います。

店頭では緑のプライスカードに書いてあるのが、“サステナブレッド”の目印。量も多いわけではなく、日によって数も種類も異なりますが、ぜひ美味しく蘇ったパンたちを手に取って、その美味しさを実感してみてください」。

amamdacotan
廃棄パンから作った「パンビール(1本1100円)」
amamdacotan
パンビールとサステナブレッドで一杯!

余ったパンや切れ端を有効活用した「パンビール」も評判です。フルーティな味わいが特徴で、後から来るパンの風味がクセになる一杯!サステナブレッドと合わせた“パン呑み”にもおすすめで、パンとビールのダブルの風味にハマること間違いなしですよ!



●プロフィール

イタリアンシェフの平子良太さん

平子良太さん
イタリアンシェフ。1983年長崎県生まれ。高校卒業後、長崎のホテルの厨房や東京のカフェ、和食店などの飲食店ほか、アンティークショップにも勤めるなど様々な仕事を経験。その後、福岡の飲食店に入社して1年で料理長になるなど、料理人としての才能を開花。2012年、28歳の時に「パスタ食堂 ヒラコンシェ」を開業。現在は福岡市内にイタリアン・ベーカリー・カフェ・ドライフラワー専門店と6店舗を展開。2021年10月に東京に「アマム ダコタン東京表参道店」をオープン予定。

■amamdacotan(アマムダコタン)
[TEL]092-738-4666
[住所]福岡県福岡市中央区六本松3-7-6
[営業時間]10時~19時
[定休日]水曜
「amamdacotan(アマムダコタン)」の詳細はこちら
■DACOMECCA(ダコメッカ)
[TEL]092-477-1050
[住所]福岡県福岡市博多区博多駅前4-14-1 1階
[営業時間]8時~23時
[定休日]なし
「DACOMECCA(ダコメッカ)」の詳細はこちら

※掲載の価格はすべて税込価格です。
※新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、各自治体により自粛要請等が行われている可能性があります。
※お出かけの際は、お住まいやお出かけされる都道府県の要請をご確認の上、マスクの着用、手洗いの徹底、ソーシャルディスタンスの徹底などにご協力ください。

GAKU(J.9)  GAKU(J.9)

株式会社J.9(ジェイ.キュー)所属のライター。福岡・東京を拠点に観光情報誌、情報WEBサイトで日本各地のグルメ、イベント情報などを日々発信しています。Twitterで食べたい!行きたい!情報を随時更新中。 @GakuKael(https://twitter.com/GakuKael)、株式会社J.9( http://j9-fukuoka.com/about/)

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