家紋や着物の柄、硬貨など、意外と身近にそのモチーフが使われている桐。桐だんすや桐下駄などでもおなじみですが、その花については知らない人も多いかもしれません。
古くから神聖な木として愛されてきた桐について、今回は花の特徴や開花時期、花言葉や桐に似た花、桐の花が見られるスポットについても詳しくご紹介します。
桐の花の特徴

桐(キリ)はノウゼンカズラ科のキリ属に分類される広葉樹で、奈良時代から平安時代にかけて中国から日本に伝えられました。成木は8~15m、樹皮は灰白色でなめらかな手触りをしており、葉は直径20~25cmの広い卵型をしています。春から初夏にかけて釣鐘型をした薄い紫色の上品な花を枝先に咲かせ、花が終わった後は実を付けます。元気のよい株は開花が控えめになるという、面白い特徴もあります。
木材としては丈夫で扱いやすく、断熱性に優れている、水を通しにくいなどの特徴から、下駄やたんす、箏などの材料に古くから利用されてきました。さらに、虫や菌を退ける成分も含まれているため、昔から桐だんすに着物をしまうことで高価な着物の虫食いを防いでいたそうです。
桐の花は神聖な花?
桐の木や花には古くから神聖なイメージがあります。原産地である中国では、伝説の鳥・鳳凰(ほうおう)が止まる木と言われ、桐は神聖な意味を持つ植物となっています。日本に渡来した後も神聖なイメージが引き継がれ、また高貴な色とされる紫色の花を咲かせることもあって、神聖な木として大切にされてきました。皇室の紋章や武家の家紋、500円玉硬貨のモチーフとしても使用されています。
また、かつて日本では農家に女の子が生まれると庭に桐の木を植えるという古い風習があったそうです。これは女の子が成人した時に桐だんすや長持を作って嫁入り道具として持たせるためで、15年ほどで成木になり、木材として丈夫で扱いやすい桐の特徴から生まれた風習だと言われています。
桐の花の見頃はいつ?
桐の花の開花時期は、エリアにもよりますが5月~6月です。桜の花が終わる頃、春から夏の初め、季節の変わり目に紫色の花を鈴なりに咲かせ、人々の目を楽しませてくれます。
桐の花に似た花にはどんなものがある?
キリモドキ(ジャカランダ)

南アフリカやオーストラリアで野生化している木で、ジャカランダ、またはシウンボク(紫雲木)という別名で呼ばれています。日本では5月下旬~6月上旬頃に見頃を迎え、紫色の花をたわわに咲かせるため桐に似ていますが、葉の形は桐とは異なりシダに似ていています。
日本では見る機会が少ない花ですが、静岡県熱海市のお宮緑地にはジャカランダの遊歩道、宮城県日南市の植物園や道の駅の一部でも見ることができます。
アキギリ

葉が桐に似ていて秋に咲くので「アキギリ」と呼ばれているシソ科の多年草で、学名はサルビア・グラブレスケンスと言い、日本原産のサルビアの1種です。本州の中部地方から近畿地方の日本海側に分布し、山地の木陰などに生えています。花の形は似ているものの、木である桐とは異なり高さ20~50cmの草花で、その名の通り8~10月の秋に紫色の花を咲かせます。
桐の花の花言葉とは?

桐の花には、鳳凰(ほうおう)が桐の木にだけ止まるという中国の伝承、また日本でも神聖な木とされてきたことから、「高尚」という花言葉が付けられています。
桐の花が見られるおすすめスポット
日本の桐の生産地の中でも、岩手県の「南部桐」、福島県の「会津桐」、岡山県の「備後桐」などは有名で、産地では各所で桐が見られ、開花シーズンになると桐の花の香りで包まれるそうです。また、以下の観光スポットでも桐の花を楽しむことができます。
恵日山 観音寺大宝院(津観音)【三重県津市】

709年、伊勢阿漕ヶ浦の漁夫の網にかかった聖観音立像をまつり開山したと言われている、歴史ある寺院。浅草観音、大須観音と並び、日本三観音の一つといわれています。境内には津観音の寺紋にもなっている桐が植えられ、5月上旬頃に紫色の美しい花を咲かせます。
また、桐の花が咲く5月上旬には、毎年「花桐祭り」が開催され、桐の花の香りに満たされた境内で、地元有志による盆栽市や野点、俳句の会なども催されます。
059-225-4013
三重県津市大門32-19
[参拝時間]8時~20時(売店・御祈祷受付は9時~16時)
なし
無料
【電車】近鉄津新町駅より徒歩22分 【車】伊勢道津ICより8分
約20台
「恵日山 観音寺大宝院(津観音)」の詳細はこちら
特別史跡 大阪城公園【大阪府大阪市】

大阪の中心地に位置し、歴史博物館となっている立派な天守閣、13棟の重要文化財や史跡、梅林や庭園が美しい公園で、歴史のロマンあふれる都会のオアシスとなっています。

大阪城天守閣の北側、極楽橋の南側の山里丸には、秀吉の家紋「桐紋」のモチーフとなる桐が植えられており、例年4月下旬~5月頃に薄紫の桐の花が咲きます。天守閣に施された桐紋と、実際の桐の花が空に伸びている様子はぜひセットで楽しみたいものです。
06-6755-4146
大阪府大阪市中央区大阪城1
9時~17時30分
12月29日~1月3日
大人600円、中学生以下 無料 (中学生は要証明)
【電車】JR大阪城公園駅 、JR・地下鉄森ノ宮駅 、地下鉄谷町四丁目駅より徒歩すぐ
【車】東大阪方面:阪神道13号東大阪線森之宮出口
神戸方面:阪神道13号線東大阪線法円坂出口
約171台(8時~22時:1時間350円、22時~翌8時:1時間150円)
「特別史跡 大阪城公園」の詳細はこちら
まとめ
いかがでしたか?普段はあまり見かけることがないかもしれない、しかし古くから日本と密接にかかわっている桐の木と桐の花。桐のたんすや桐箱を見かけたら、紫色の上品な桐の花も思い出してみてください。機会があれば本物の桐の花も楽しんでみてくださいね。
※この記事は2022年3月1日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
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鳥井 晴風
5人の子どもを持つママ編集ライター。 子供に大好きな漫画の主人公の名前を付けてしまうほど漫画アニメ好き。キャラ弁やキャラケーキづくりが得意。好きなお出かけ先は道の駅や直売所など食材が豊富なところ。 自分で収穫する味覚狩りや芋ほりも大好き。