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Jaranさん
投稿日:2017/8/4
お・も・て・な・し
膨大な仕事量と折りからの蒸し暑さも加わって夏ばて気味の私を心配した家内が、急遽予約をとって初めての宿に二人で訪れました。3時のチェックインもそこそこに早速露天風呂へ行くと貸し切り状態で、目に優しい緑の木々に思わず漏れた感嘆の声は「女風呂にまで聞こえた」と家内に冷やかされました。風呂上がりに廊下で足マッサージ器を利用していると、遠目には俳優の藤原喜明さん似の男性従業員が、予想外に物静かな声で話しかけて下さいました。沢山生えていたユリが猪に殆ど食べられてしまったこと、ホンモノの源泉掛け流しは湯の表面が熱くて底の方が少しぬるく感じることなど、まったりした会話で心が早くも和みました。
夕飯は明るく広々としたダイニングで、これまた穏やかな語り口の仲居さんの給仕で舌鼓を打ちながら戴きました。どの料理も逸品ですが、家内はローストビーフ、私はヒラメのお造りが一押しでした。ローストビーフは美味だったし、程良く寝かせたヒラメはほのかな甘みがあり、繊細で奥深い味わいの煮物からは料理人の気迫さえ感じられました。
満たされ幸せな気分で熟睡した翌朝も爽やかな晴天で、清々しい朝風呂を楽しみました。朝食は一見それほど派手さがありませんが、一品一品味わうほどにうっとりとし、夫婦の会話も弾みます。特に私は塩加減・焼き加減が絶妙な鰺の干物と、優しくかつ豊かなエキスがじわーっと口の中に広がるシジミの味噌汁に感激しました。
出発間際のロビーでぼんやりしていると、上品な所作の初老のご婦人が若い仲居さんに嬉しそうに近づき、それに気付いた仲居さんも小さな歓声をあげながらご婦人の手を握っている姿が目にとまりました。ご婦人が愛しいお孫さんと偶然会ったのかと思いきや、漏れ聞こえた会話から察するに、仲居さんは常連客であるご婦人のお気に入りだったようです。
帰途、何時になく多幸感に満たされていたのが不思議でしたが、決して押しつけがましくない、むしろ控え目で真心の籠もった一期一会の歓待が原因だったと判りました。出立直前に目撃したご婦人と若い仲居さんの1シーンは、きっと仙郷楼のおもてなしの象徴だったのでしょう。ふと気付くと、私の心からも仕事の憂さがすっかり消え去っていました。2,3の注文がない訳ではありませんが、そんな野暮を忘れたくなる位、心地よい一泊でした。
仙郷楼からの返信
仙郷楼にお越しくださいまして、誠にありがとうございました。
たくさんのご感想とお褒めのお言葉をいただき、大変光栄でございます。
温かな気持ちになりながら、拝読いたしました。
私を含めスタッフよりも昔の仙郷楼をご存知のお客様も多く、度々お越しくださるお客様とは親しくお話させていただく機会も少なくありません。私共にとりましても本当に嬉しいひとときでございます。
初めてお越しくださるお客様にも、長年お越しいただいているお客様にも、また泊まりに来ようと思っていただけるよう、これからも一日一日を大切にお客様をお迎えしてまいりたいと存じます。
是非またの機会にお寛ぎにいらしてくださいませ。
Jaran様のご来館をお待ちしております。
返信日:2017/10/8