クチコミ・評価

部屋

5

風呂

4

料理(朝食)

-

料理(夕食)

-

接客・サービス

5

清潔感

4

何もない宿で美しい瀬戸内海を部屋から独り占め！

宿の紹介に「ないないづくし」の案内が、まるで開き直っているかのように堂々と掲げられていますが、ほんとうに、私たちがふつうに求めるようなものは文字通り「一切なにもない」です。そんなこちらのお宿に「車もバイクも自転車もない」状態で単身果敢に挑んだ自分を褒めてあげたいです。
この、何もない、交通不便な、しかも相当年季の入ったお宿が私の初小豆島体験のクライマックスになったのでした。以下、私の気に入った点です。
(1) 宿の目の前に、西向きに海が広がっていて、さほど遠くない島と宿の間を次々と船が行き交っていく。しかもこの素晴らしい景色が部屋の中から一日中、一晩中眺められる。一晩中とあえて書いたのは、夜中の二時ごろにふと目覚めて窓を開けたとき、美しい月の道が瀬戸内海のうえを私に向かってまっすぐ、きらきらと音もなく迫ってきた光景が忘れられないからです。
(2) 宿の創業者のおばさんが、いい意味でとても話好きで、宿の魅力や周辺の昔の様子などを、嬉しそうに聞かせてくれる。「何もない」ことがいかに素晴らしく、時にどんな街よりも魅力的な場所になるのだということを、ご自分の生きてこられた経験を振り返りながらていねいに語り聞かせてくれる。
(3) 交通の不便さは小豆島全島を網羅する「オリーブバス」の二日連続フリー切符 1500円を購入することでスリリングなアトラクションに変わる。バスの営業所で大きな見開きの時刻表をくれるので、それと首ったけで島内観光やフェリーへのアクセスをひたすら研究することが必要になる。終バスも当然ながら早い。これを逃すと最寄りのバスターミナルである土庄港から小一時間徒歩で戻ることになる。海辺は気持ちいいが、途中ちょっとした山越えが必要なので、日没が早い季節にはちょっと遠慮したい雰囲気である。
(4) 一度、オリーブバスの最終便近くの時間帯に港前のセブンイレブンまでバスを利用して買い物に行き、２０分後そのまま戻りのバスに乗り込んだら、バスの運転手さんが、「先ほど乗られましたよね。間違ってらっしゃいませんか？」と気遣ってくれた。「何もない」ところだからこそバスの運転手さんまでもが旅人を見守ってくれているのだと温かい気持ちになった。
結論です。この世の極楽のひとつ！（ただ冷蔵庫は欲しいかも、共用の電子レンジは廊下にありましたが夏は冷蔵庫がないとちょっと食べ物が心配