こんにちは。

9月17日は、枕崎台風が上陸した日です。
この台風で、広島では県内全域で大きな被害を受けました。
今から75年前の、1945年の事です。
そう。広島に原爆が投下されてから、僅か1ヶ月後の事です。

1945年9月17日。
鹿児島県枕崎付近に上陸した台風は、916hpという大勢力で上陸します。
（参考までに、9/7の台風10号は920phでした）
上陸後は四国や近畿を縦断して日本海に抜けます。
この時、台風の中心の西側にあった広島で、大きな被害がありました。

広島市と呉市では相次いで土石流が発生。
廿日市市でも、当時の大野町で17日22時頃に大規模な土石流が発生し、陸軍病院の建物を襲います。土石流は海岸を走る山陽本線の線路をも飲み込む大惨事となりました。陸軍病院で働いていた医療従事者、治療中の被爆者、京都帝国大学から被爆の実態調査の為訪れていた研究者など、200名近くの尊い命が一瞬にして失われました。（跡地には慰霊碑があります）

枕崎台風では、全国での死者と行方不明者の合計が2,000人を超える大惨事となりました。
その中で最も被害が大きかったのが広島県で、広島市内だけでも、半数の1,000名以上の方が命を落とされました。
被爆から終戦を経て、ようやく前を向いて歩こうとした当時の方々の落胆は、いかばかりかと察せられます。

宮島でも土石流の為に、厳島神社の社殿が流される等の被害がありました。宮島島内の河川には、土石流による注意喚起の看板があります。

今はすっかり紅葉の名所となった、紅葉谷公園。
江戸時代から続く宮島を代表する名勝も、枕崎台風による土石流の被害を受けました。一帯は泥にまみれ、川上から落ちてきた巨石に覆いつくされたのです。

それから3年後の1948年。約8000万円の予算を投じて、紅葉谷公園の復旧作業が始まります。
ただし、ただ土砂を取り除いて綺麗にしただけでなく、2年かけてダムを完成させます。
紅葉谷公園は、災害から私達を守る砂防ダムでもあったのです。
コンクリート面は目に触れない様隠し、現地に残された石や樹木はそのまま生かして作られたので、一見ダムとは分からない巧みな作りです。

豪雨や台風による災害は、今でも後を絶ちません。
災害の犠牲となった方々に深い哀悼の意を捧げると共に、幾多の現場で復興にご尽力された多くの皆様に敬意と感謝の気持ちを持って、日々過ごして参りたいと思います。