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2024.03.11

小児科医がアドバイス!赤ちゃん・子どもの「救急・急病」旅先トラブル対応ガイド

旅行は家族にとって大切な記念日。でも、いつもと違う環境や生活リズムに、体調を崩してしまう赤ちゃんも…。「もしも」の時に慌てないように、症状を知っておくことが重要です。日常の「もしも」の時にも役立つはず!

小児科医の細部千春先生が教えてくれた、旅先で気を付けること、もしもの時の対処法、受診の目安をチェックしよう。

記事配信:じゃらんニュース

発熱

体温調節が未熟な赤ちゃんは、急に熱を出すことも。

発熱

旅先で気をつけること

風邪などの病気はもちろん、部屋の温度や厚着、大泣きなどでも発熱する。室内や車内の温度を管理し、暑そうなら薄着にして。旅先にも体温計は持参を。

もしも…の対処法

体にこもった熱を放出して、平熱に下がったらひと安心。
赤ちゃんは体温調節が未熟なので、冬でも暖房を弱めて靴下を脱がせ薄着にすることで熱が下がることも。熱があってもご機嫌であれば様子を見て過ごそう。

こまめに水分補給を。解熱剤は様子を見て。
脱水症状になりやすいので水分補給を。授乳して熱が下がるようなら心配しないで。食欲がなければ無理に食べさせず、熱が続くようなら旅行の切り上げも。

受診のめやす

[救急車で大至急病院へ]呼びかけに反応しない
[旅先で診療時間外でも受診]元気がなく、ぐったりしている、生まれて初めて痙攣を起こしている
[旅行を切り上げてかかりつけ医へ]熱が下がらず、食欲もない など

インフルエンザなどの流行時は、旅行の延期などの検討を。

旅先で気をつけること

水分補給で喉の粘膜が潤うと予防につながるので、麦茶を飲ませて。旅先の地域で集団風邪が流行していたら、地域の変更や旅行そのものの延期を検討しよう。

もしも…の対処法

急激な高熱の場合は、医療機関への受診を。
急激な高熱、ぐったりするような症状はインフルエンザの可能性が高いので、医療機関への受診を。風邪のように見えて集団風邪の可能性もあるので注意して。

アレルギー

ブツブツ、ゼーゼー、嘔吐…特定の食品に反応してしまう。

アレルギー

旅先で気をつけること

アレルギー予防は経皮感作によるアレルゲン侵入を防ぐこと。スキンケアで肌を保湿しバリア機能を高めよう。旅先では初めての食品は食べさせないように。

もしも…の対処法

事前に宿泊施設に伝えて料理から除去してもらおう。
アレルギーがある食品がわかっている場合は、予約時や事前連絡にて宿泊施設に伝えて。もし食べても、口の周りにブツブツが出る程度であれば様子見で大丈夫。

全身に症状が出た場合はその食べ物を持って病院へ。
食後30分以内に下記の症状が出た場合は、食べたものを持って急いで病院へ。大人の食べ物を口にして症状が出ることもあるので、食事中は特に気をつけて。

受診のめやす

[旅先で診療時間外でも受診]嘔吐を繰り返す、ゼーゼー呼吸が苦しそう、全身にじんましんが出る、まぶたが腫れている など

ケガ

赤ちゃんはバランス感覚が未発達。大人が予測できない行動も。

アレルギー

旅先で気をつけること

赤ちゃんは頭が大きく、転ぶと後ろに倒れやすい。大人が先回りをして移動できる家具や備品など危険なものは、宿の部屋に入ったらすぐによけておこう。

もしも…の対処法

こぶができたら冷やして、入浴は控えたほうがベター。
こぶができたら、冷たいタオルや保冷剤で患部を冷やして。大声で泣いたり普段通りなら問題ないが、念のために入浴は控えて。数日間は異変がないか見守ろう。

出血したら水で洗い流し、患部の保護を。
切り傷などの場合は水道水で汚れを落とし、止血したらワセリンなどを塗って保護を。誤飲の元になるばんそうこうは貼らず、傷口に触れないよう服を着せて。

受診のめやす

[旅先で診療時間外でも受診]傷が深く、出血が止まらない、口の中を切って出血が止まらない、目・鼻・耳に何かが入って取れない
[旅行を切り上げてかかりつけ医へ]ぶつけた所が腫れてきたり、ケガした所がじくじくしてきた など

ゆだる

体が小さく、のぼせやすいので、温泉の長湯は禁物。

ゆだる

旅先で気をつけること

高温の温泉に長く浸かると、大人には快適でも赤ちゃんは熱中症と同じような症状に。家族風呂や内風呂を利用して、38℃くらいの湯温にしてあげよう。

もしも…の対処法

30分くらい様子を見て、回復するようなら大丈夫。
いつも活発な赤ちゃんが、ぼーっとしていたら要注意。涼しい場所に移動して、授乳またはイオン飲料などで水分補給を。30分以内に回復すれば問題ない。

受診のめやす

[救急車で大至急病院へ]呼んでもいつものような反応がない
[旅先で診療時間外でも受診]ずっとぼーっとしている、ずっとぐったりしている など

おぼれる

湯舟では抱きかかえるなど、大人は目を離さないで。

おぼれた

旅先で気をつけること

宿泊施設では大浴場ではなく、できるだけ家族風呂や内風呂の利用を。もしも大浴場に入る場合は、バスチェアに固定したり、他の人に見てもらうなどの対策を。

もしも…の対処法

水を吐かせて、体を温め、安静にして様子を見よう。
頭を下にうつぶせに大人の膝の上に乗せ、みぞおちを圧迫するような体勢に。背中を叩いて水を吐かせたら、体を温め安静にして様子見を。

意識がなければ救急車を。心肺蘇生を行って。
意識がなく、呼吸もしていない場合は救急車を呼んで、到着まで心肺蘇生を行おう。汚れた水を飲んだり、その後に熱が出た場合も病院で受診をしよう。

受診のめやす

[救急車で大至急病院へ]意識がない、呼吸がない
[旅先で診療時間外でも受診]汚れた水を飲んだ、大量に水を飲んだ、機嫌が悪く顔色もよくない
[旅行を切り上げてかかりつけ医へ]おぼれた後に熱やせきが出る など

転落

赤ちゃんは頭が重いので、頭から落ちやすい。

転落

旅先で気をつけること

旅先の部屋は階段やロフトなどの段差のない部屋を選び、赤ちゃんから目を離さないで。寝返りできないからと大人のベッドやソファに寝かせるのも危険。

もしも…の対処法

ぶつけた部位を冷やして、ご機嫌がよければ様子見。
頭から転落することが多いので、まずは部位を確認。赤ちゃんの頭は比較的やわらかく頭蓋内出血は起こりにくいが、命に関わる事故も。濡れタオルで冷やして。

頭や体を揺さぶる行為はNG。外傷部に違和感があれば受診。
転落後、泣き止んだりご機嫌がよければ様子見を。意識がなければすぐに救急車を呼んで。また、外傷部にぶよぶよした腫れがあればすぐに受診をするように。

受診のめやす

[旅先で診療時間外でも受診]ぼーっとしている、顔色が悪く、ぐったりしている、嘔吐を繰り返す、耳や鼻から出血がある など

下痢

飲みすぎ、食べすぎ、旅行中は下しやすいので要注意。

下痢

旅先で気をつけること

慣れないものを食べたり、冷たいものを飲みすぎないように。おむつやパンツなど多めに持っていき、こまめに取り替えて、お尻を清潔にしてあげよう。

もしも…の対処法

離乳食のステップを戻して、消化のよいものを。
赤ちゃんは下痢をすると長引くことも。まずは胃にやさしい消化のよいものを食べさせよう。離乳食の場合は1つ前のステップに戻すことをおすすめしたい。

下痢以外の症状が出たら迷わず受診を。
軽い下痢が続いて心配であれば帰宅後の受診で大丈夫だが、嘔吐や発熱、脱水症状などを併発するようであれば受診をしよう。注意深く様子を見守って。

受診のめやす

[旅先で診療時間外でも受診]水分がとれずぐったりしている、激しい下痢と嘔吐を繰り返している、38℃以上の熱がありぐったりしている、血便が出る など

夜泣き

旅行での興奮や場所見知りで、日常とは違う環境に戸惑いが。

夜泣き

旅先で気をつけること&もしも…の対処法

生活リズムを崩さない旅行計画が大切。もしぐずったら、抱っこして泣き止んで眠るまで一緒に過ごしてあげよう。パパもママも夜泣きは覚悟で旅行を。また、漢方薬を持参することも考えて。

じんましん

食べ物からの発症がほとんど。冷やしてかゆみを抑えて。

じんましん

旅先で気をつけること&もしも…の対処法

じんましんの原因は食べ物であることがほとんど(薬の場合もあり)。手または足だけなど部分的な発症であれば様子を見て、面積が広い場合は受診を。冷やすことでかゆみは抑えられる。

ぐずる

移動中、宿、レストラン…いつもと違う環境にグズグズ。

ぐずる

旅先で気をつけること&もしも…の対処法

車移動の場合は、授乳や離乳食、おやつなど食べ物で気を紛らわして。午前寝・午後寝をする月齢であれば、その時間に合わせて移動を。飽きてしまった時に遊べる複数のおもちゃも持参しよう。

誤飲

口に入れて確かめたくなる時期。目を離さず、油断は禁物。

誤飲

旅先で気をつけること&もしも…の対処法

もし取り出せそうなら指で掻き出して。難しいようなら量と時間を確認して、口の奥に指を入れて吐かせて受診を。タバコや大人の薬、ボタン電池などを飲んでしまった時はすぐに病院へ。

食べない

旅行中は食事のペースが崩れがち。できるだけ守って。

食べない

旅先で気をつけること&もしも…の対処法

普段の食事の時間を守ることができる旅行スケジュールを心掛けて。もし食事の時間が移動中にかかる場合は、車中でも食べられる離乳食を持参しよう。

肌荒れ

紫外線や乾燥など、肌荒れには、保湿ケアを。

肌荒れ

旅先で気をつけること&もしも…の対処法

皮膚が敏感な赤ちゃんのために、保湿ケアグッズは使い慣れたものを持参して。また日差しが強い場所は避けて、無用な日焼けはさせないように。

尿が少ない

赤ちゃんの体は8割が水分。脱水症状に注意。

尿が少ない

旅先で気をつけること&もしも…の対処法

暑い日でも半日尿が出ていない時はしっかり水分補給を。それでも尿が出ない場合は旅行を切り上げて自宅で安静を。意識状態が悪ければすぐに病院へ。

旅行と予防接種スケジュール

接種後1週間は家で様子を見て。

予防接種後は副反応で熱が出ることも。接種後すぐ旅行に行くと、発熱の原因が判断しづらいので接種後1週間は旅行しないで。生後半年までは接種が続くので、旅行はその後がベター。

0歳でもMRワクチンを受けて。

海外観光客が増えると感染症の持ち込みなどで、はしかの流行が心配。MRワクチンは1歳になると定期接種だが、その前でも任意接種できるので、流行地に行く時はかかりつけ医と相談して旅行1カ月前までに接種しておいた方が安心。

子どもの急な病気に困ったら、「小児救急電話相談」#8000

お出かけ先での急な発熱やけが、嘔吐などかかりつけ医にすぐ相談できない時には「こどもの救急オンライン」や「小児救急電話相談」は頼れる存在。いざというとき焦らないように、ぜひ覚えておいてくださいね。

小児科医 細部千晴先生

記事監修:小児科医 細部千晴先生
細部小児科クリニック院長。日本小児科学会小児科専門医。日本小児科医会子どもの心相談医。地域の子育て支援やペリネイタルビジットも積極的に行う。2児の母(孫2人)。

※この記事は2023年12月14日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
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じゃらん編集部  じゃらん編集部

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