2020.05.26
美しい自然現象が発生する瞬間に立ち会ってみたいと思いませんか?
日本にも、自然がつくり出す感動的な光景がたくさん存在します。
今回は、北海道から九州まで、全国の美しい自然現象11選をご紹介。
見られる時期や、発生しやすい条件まで徹底ガイドします!
フロストフラワー
阿寒湖【北海道】
湖面から水分を含んだ空気が立ちのぼり、それが一瞬でキーンと氷って、結晶として成長したものがフロストフラワー。
寒さの厳しい北海道でも、奇跡的な条件がそろったときだけ見られる、珍しい現象です。
奇跡的な条件とは、
・湖の水が薄く氷っている ・湖面から水蒸気が立ちのぼる ・湖面に雪が積もっていない ・気温がマイナス15℃以下 ・風がない…というもの。
氷が分厚すぎると水蒸気が立たず、雪が積もっていると結晶になれないため、ただ寒いだけではできません。さらにちょっとでも風が吹くと壊れてしまうという、はかない氷の花です。
阿寒湖は湖底から温泉が湧いているため氷が分厚くならず、外輪に囲まれたカルデラ湖のため、風からも守られやすいという、奇跡の条件をそろえています。
それでも見られる確率は30%程度なのだとか。12~3月がシーズンです。
ダイヤモンドダスト
美瑛町、名寄市、十勝エリア、弟子屈町など【北海道】
よく晴れて澄み切った朝、放射冷却などで冷え込むと、大気中の水蒸気が冷やされて結晶となり、キラキラと舞いながら落ちていきます。これがダイヤモンドダストです。
発生する条件は、
・気温マイナス10℃以下 ・無風 ・晴れ ・前日までの湿度がある程度高い…というもの。
放射冷却で冷え込んだ朝はこれらの条件が揃いやすく、逆光気味に朝日が当たると、さらにサンピラー(光柱)という現象が見られることも。
北海道では1~2月ごろ、内陸の盆地である美瑛町や名寄市、冬場に晴れの日の多い十勝エリア、湿度があって冷え込みも強い弟子屈町の川湯温泉などでよく見られます。
本州でも、長野県・霧ヶ峰高原など、条件がそろえば出会うことができますよ。
桜の絨毯(じゅうたん)
弘前公園【青森県】
知らなければ、「きれいな道だな」と思ってしまうのではないでしょうか。
下を埋め尽くすのは、桜の花びら。その下は地面ではなく、水。ここは、弘前城のお堀なのです。
東北唯一の現存天守である弘前城は、現在、弘前公園として市民に親しまれています。ここには約2600本の桜が育てられていて、毎年4月末~GWに見ごろを迎えます。
満開のタイミングもさることながら、散り始めた花びらがお堀の水面をびっしりと覆う様子は幻想的。
「花筏(はないかだ)」とも呼ばれています。
ずばり、満開になった日から3~5日後ぐらいがベスト!咲き具合をチェックして、ぜひ出かけてみましょう。
樹氷
蔵王連峰【山形県、宮城県】
蔵王連峰の特殊な気象条件が生み出す樹氷。またの名を「スノーモンスター」。
樹氷の中にあるのはアオモリトドマツ。日本海を渡ってきた湿った雲が朝日連峰で冷やされ、さらに山形盆地を通って蔵王連峰に届いたとき、猛烈な吹雪を生みます。
1~2月の蔵王は風速10~15m/秒、気温マイナス10~15℃の世界。厳しい吹雪の中で雲粒はアオモリトドマツにくっつき、樹氷としてどんどん成長していくのです。
見ごろは2月ごろ。数少ない晴れた日は絶好のチャンス!
山形県側ならロープウェイの中からでも見ることが可能。宮城県側からは、雪上車に乗ったツアーなどもあります。
ダイヤモンド富士
山中湖、田貫湖【山梨県、静岡県】
富士山の山頂に太陽がちょうど重なったとき、ダイヤモンドのように美しい光跡が見られるのがダイヤモンド富士。
富士山が見えればどこでも見られるかというと、さにあらず。ちょうど山頂に重なるには、場所、季節、時刻まで正確に合っていないと出会えないのです。
観測できる代表的な場所は2つ。富士五湖のひとつ山中湖では、東側の「平野の浜」近辺で観測できます。10月中旬~2月下旬の「日没時」がチャンス。
「日の出時」に観測できるのは、静岡県の田貫湖。4/20と、8/20のそれぞれ前後1週間ずつ、どちらも午前6時前後がベスト!よく晴れて波がなければ、湖面に逆さに写る「ダブルダイヤモンド富士」になることも。
トンボロ現象
堂ヶ島 瀬浜海岸【静岡県】
海が割れて道が現れる!まるで旧約聖書に記されたような光景が、日本でも見られるのです。
その名はトンボロ現象。海中の障害物に砂がたまり、干潮時にだけ、向こうの陸(島)まで地続きになる現象です。
西伊豆の堂ヶ島では干潮時、約200m先の三四郎島まで歩いて渡ることが可能。道が現れるかどうかの目安は「干潮時の潮位が30cm以下」。気象庁の潮位表や、西伊豆町観光協会のサイトで確認できます。
潮位は季節によっても差があり、10~2月は、昼間にあまり潮が引きません。トンボロ現象を体験するなら、3~9月の大潮の日の干潮時を狙いましょう。
雲海
越前大野城【福井県】
盆地などに低くたまった雲を、回りの高い山から見下ろしたときに見られる光景が雲海。
秋~冬の放射冷却で冷え込んだ朝など、条件がそろうと出会うことができます。そこから突き出た山城が「天空の城」と呼ばれることも。
天空の城と言えば兵庫県の竹田城が有名ですが、ここ越前大野城も負けず劣らず絶景。お城そのものよりも、約1km西にある犬山(戌山城址)が撮影スポットです。
標高が324mあり、20~30分の登山が必要ですが、寒い中、夜明け前から待って出会えた光景は感動の一言。
ヒメボタルの乱舞
長良川【岐阜県】
ヒメボタルとは、水辺に棲むゲンジボタルやヘイケボタルと違い、一生を陸の上で過ごす、とても小さなホタル。
多くは標高1000m以上の森の中に棲み、「森のホタル」とも呼ばれています。
なかなか出会うチャンスがありませんが、長良川沿いの竹林広場公園は市街地に近い貴重な繁殖地。5月中旬~下旬の深夜、ほのかな明かりが一斉にまたたき始めます。
メスは飛ぶことができないためじっと止まって光り、オスは点滅しながらふわふわと漂います。月明かりのない闇夜に、森の中で繰り広げられる幻想的な光景です。
風紋
鳥取砂丘【鳥取県】
遠い外国の砂漠のよう。鳥取砂丘では条件がそろうと、この「風紋」を見ることができます。
風紋ができる条件は、
・晴れが続き、砂がよく乾いている ・砂粒の大きさがそろっている ・風速5~10m/秒の適度な風が吹く…というもの。
春~秋の、数日天候が安定した日によく発生しますが、見られるのは観光客が足を踏み入れる前の早朝限定。「馬の背」と呼ばれる丘の西側が、人が少なくて砂の状態もよく、見られる確率が高いのだとか。
風向きが変わればあっという間に消えてしまうことも。シャッターチャンスは一瞬です。
だるま夕日
宿毛(すくも)湾、室戸岬【高知県】
よく晴れた冬の日没時、海に沈む太陽が、下からせりあがってきたもうひとつの太陽とつながって、「だるま」のように見える瞬間があります。これがだるま夕日と呼ばれる現象です。
発生するメカニズムは、温かい黒潮から立ちのぼる水蒸気を含んだ空気と、冬の冷たい空気の間に境目ができ、そこに光が反射するため。太陽が動くスピードは意外と早く、観測できるのはほんの3分間です。
シーズンは11月中旬~2月下旬。一冬に20回ほどしか見られないとか。地元では幸運のしるしとされています。
漁火光柱(いさりびこうちゅう)
対馬【長崎県】
よく晴れた穏やかな冬の夜、はるか海上の空に、まるで宇宙から降ってきたかのような光の柱が浮かび上がります。
これは漁火光柱と呼ばれるもの。地上の強い光が、上空の氷の結晶に反射して起こる現象です。
ダイヤモンドダストにおけるサンピラーと同じメカニズムで、よく冷え込んだ日に発生します。
冬の海での漁が盛んな場所でしばしば見られる光景ですが、よく知られるようになったのは1983年、長崎県対馬の沖で何百本もの光柱が観測されてから。UFOの襲来と思った人もいて、大騒ぎになったのだとか!
まとめ
美しい日本の自然現象11選、いかがでしたでしょうか。
ハードル高めではありますが、もし出会えたら一生の思い出になるはず。ぜひ足を運んでみてください!
※この記事は2020年5月時点での情報です
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください
※旅行・お出かけの際は、安全、体調に十分に配慮しましょう。お出かけの際は公式ホームページなどで最新の情報をご確認ください。
ミキティ山田
旬な話題を求めて、いろいろな場所を取材・撮影する調査員。分厚い牛乳瓶メガネに隠したキュートな眼差しでネタをゲッチュー。得意技は自転車をかついで階段を登ること。ただしメガネのせいでよく転びます。