こんにちは。
写真の撮り方やフォトスポットを紹介するWebメディア「Photoli」編集長の横尾 涼です。
今回のテーマは「ボケ」について。みなさんは、もっとボケた写真を撮りたいと思ったことはありませんか?
一眼レフを購入した際に多くの方が抱える悩みに「ボケた写真がうまく撮れない」というものがあります。
僕自身、写真を続けている中でボケた写真が撮れるようになったときに写真が一歩上達したと感じることがあったので、今回はボケを上手に撮るための3つのポイントをご紹介します。
先にまとめると、ボケた写真を撮るポイントはこの3点。
(1)F値を小さくする
(2)被写体に近づく
(3)できるだけズームする
それぞれ実例を交えてご紹介していきます!
(1)F値を小さくする
F値とは、絞りと呼ばれる光を取り込む穴の開き具合を示す値です。レンズによって異なりますが、1.4〜22程度の幅で変化することが一般的です。

この値はボケの大きさを左右するもので、数値が小さくなればなるほど背景が多くボケます。

この写真は同じ距離・設定でF値だけを変えたときの写りを比較したものです。
F値によってボケる量が大きく変わることがわかります。体感ですが、F値が2以下だと大きくボケる印象です。
F値の設定は手元で変えられるので今回ご紹介する3つのポイントの中ではもっとも調整が簡単です。
ボケすぎていたらF値を大きく、もっとボケた写真を撮りたいときにF値を小さくして対応しましょう!
(2)被写体に近づく
2つ目のポイントは被写体との距離を近づけること。
もう少しボケた写真が撮りたいと思ったときには、一歩ずつ被写体に近づいて撮ってみましょう。それだけでボケの量が変わるのです。
たとえば、おうちの近くに咲いているタンポポを、撮影者の立ち位置を変えて撮ってみます。

この写真は周りの雑草もクッキリ写っています。そこで、F値を始めとした距離感以外の設定は変えずにタンポポに近づいてみると……

1~2歩近づくだけで背景が大きくボケました。

先ほどの立ち位置から一歩下がってみると背景があまりボケていないことがわかります。

撮影者と被写体との距離を近づけることが、背景がきれいにボケた写真を撮るときのポイントです。
(3)できるだけズームする
最後のポイントは望遠で撮ること。ズームレンズを使っている場合は、一番遠くまで撮れる状態までズームして撮影することでより大きなボケが得られます。
たとえば、こちらは焦点距離25mm(広角気味)で撮影したカメラの写真です(お出かけができないのでお庭で撮影しました)。

続いて50mm(標準)で撮影した写真。

そして、85mm(中望遠)で撮影するとこんな感じ。

3枚を比較すると、85mmで撮影した写真の背景はボケが大きいことがわかります。

ちなみに、さらに背景をボケさせたいときには、望遠レンズを使うことで一際大きなボケが得られます。

焦点距離300mmの超望遠レンズでネモフィラを撮影すると、こんな風に前後の花が大きくボケた写真に。
ほんのちょっとだけ飛び出している花のみを切り取るようピントを合わせました。花畑もボケを駆使することで、肉眼で見るのとは異なった表現が楽しめますよ。
まとめ

さて、ボケを撮るための3つのポイントをご紹介しましたがいかがでしたか?
(1)F値を小さくする
(2)被写体に近づく
(3)できるだけズームする
手元で設定を変えたり、被写体との距離感を変えるだけなので、案外簡単に実践できるのが嬉しいところ。
今回は背景をぼかすためのポイントをお伝えしましたが、ボケをうまく活かせるようになると、肉眼では切り取りきれない風景を一枚の写真に残すこともできます。

被写体の前に物を置くことで前ボケも撮れます。

背景に点の光を入れると玉ボケが撮れたり。
「ボケ」をマスターすることでできる表現は様々あるんです。
ぜひこの記事を参考に、一歩ステップアップした一眼レフならではの表現を楽しんでみてくださいね。それでは!
※この記事は2020年6月時点での情報です
横尾涼
写真の楽しみ方や撮影のコツを紹介するメディアPhotoliの編集長です。自身もフォトグラファーとして活動し、風景写真や人物写真を撮影しています。写真と旅とおいしいご飯が好きです。[Photoli]https://photoli.jp/