美術館に泊まっているかのような体験ができる、アートホテルをご存知ですか?客室や施設内で美術作品を楽しめたり、本格的なギャラリーが併設されていたり、中には客室自体がアート作品になっているものも。新規オープンが相次いでいるアートホテルの中でも、今回は特に注目の10軒をご紹介します。
※この記事は2020年9月28日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
板室温泉 大黒屋【栃木】

那須連山の西端に位置する「板室温泉 大黒屋」。山と川の谷あいの自然に囲まれ、源泉100%かけ流しの温泉が楽しめる旅館です。
大きな特徴は、毎月の企画展と、敷地内にある「菅木志雄 倉庫美術館」の二つ。また、館内、外の庭園など、敷地内の各所にさまざまなアートが飾られています。



サロンスペースで毎月行う展示会は、現代アート、現代陶芸、工芸、伝統工芸、テキスタイル、植物などさまざまな分野に渡っています。また、「音を楽しむ会」やスタッフによるイベントなども開催。ギャラリーや美術館とは違い、湯上がりの浴衣姿でもゆっくり寛ぎながら作品の鑑賞を楽しめるのが特徴的です。
「菅木志雄 倉庫美術館」は、日本を代表する現代美術作家、菅木志雄氏の作品を常時展示するスペース。1980年代から現在に至るまでの作品、約250点が収蔵・展示されています。

全客室にアートが飾られているのも特徴の一つ。和室、和洋室、洋室と客室タイプもさまざまで、旅館としては早めの14時チェックインと全室部屋食というのも嬉しいポイント。自分のスタイル、自分のペースでゆったりと過ごすことができますよ。
[TEL]0287-69-0226
[住所]栃木県那須塩原市板室856
[アクセス]【電車】JR 黒磯駅より関東自動車バスで35分、板室温泉より徒歩1分 【車】東北道黒磯板室ICより20分
「板室温泉 大黒屋」の詳細はこちら
パークホテル東京【東京】

断面が丸みを帯びた三角形というひときわ特徴的な建物「汐留メディアタワー」の25階以上に位置する「パークホテル東京」。
「日本の美意識が体感できる時空間」をコンセプトとし、アートを介して、日本の美意識のひとつでもある室礼(しつらい)によるおもてなしを体験できるホテルです。


フロントのある25階に足を踏み入れると、34階まで吹き抜けのアトリウムが圧巻。
アトリウムでは、季節などによって変わるアート作品の展示やイベントが行なわれています。展示期間中は、出展作家の作品をモチーフにした映像作品が高さ30mの壁面に映し出されます。

31階アーティストフロアの全客室は、客室そのものが作品となっている「アーティストルーム」。日本人アーティスト達が実際にホテルに滞在し、そこで生まれるインスピレーションによって生まれた美意識を壁や天井に直接描くなどして制作しました。
シングル6室、クイーン19室、キング6室、どれも世界に一つだけの独創的なアート空間。客室の写真を見比べながら、どの部屋に泊まろうか考えるのも楽しい時間です。
[TEL]03-6252-1111(代表)
[住所]東京都港区東新橋1-7-1 汐留メディアタワー(フロント25階)
[アクセス]【電車】都営地下鉄 汐留駅より徒歩1分、各線 新橋駅より徒歩7分 【車】首都高汐留ICより2分
「パークホテル東京」の詳細はこちら
KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS【東京】

2020年3月にオープンした「KAIKA 東京」は、現代アートの収蔵庫とホテルが融合した新しい複合施設です。
KAIKA(カイカ)という名前は、見せる収蔵庫を意味する「開架」、日本のアート文化を広めたいという意味の「開化」、そしてアーティストの才能をサポートしたいという意味の「開花」、3つの言葉と思いが込められているそうです。


館内には、アート作品を公開保管する収蔵庫、アートストレージを全8区画併設。アートストレージ内の作品は、入居する6つの現代アートギャラリーの活動と連動しながら常に変化するので、訪れるたびに新しい発見や驚きを得られるでしょう。
アーティストの作品集やグッズなどを購入できるショップもありますよ。

客室は、グレーを基調としたデザインに温かみのある木の素材などを使用し、リラックスできる空間。
全10タイプのお部屋があり、ツイン、ダブルだけでなくグループやファミリーも利用しやすい4名部屋、6名部屋が豊富なのも特徴です。
[TEL]03-3625-2165
[住所]東京都墨田区本所2-16-5
[アクセス]都営地下鉄 浅草駅より徒歩8分、都営地下鉄 本所吾妻橋駅より徒歩9分、都営地下鉄 蔵前駅より徒歩9分
「KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS」の詳細はこちら
KUMU金沢 by THE SHARE HOTELS(クム カナザワ バイ ザ シェア ホテルズ)【石川】

築44年のオフィスビルをリノベーションしてつくられたホテル。コンクリートの表情を生かしたデザインに、職人の手仕事を感じさせる細部へのこだわりが、趣のある空間を演出しています。
館内、共用部、一部客室などさまざまな場所に、金沢の伝統を汲み取ったアート及び工芸作品13点を展示。アートを通じて、ホテルを訪れる宿泊客に金沢の奥深さと出会うきっかけを提供してくれます。


また、シェアスペースを兼ねたティーサロンでは、工芸作家や茶人、僧侶、アーティストなどとともに、金沢の伝統文化にちなんだイベントやワークショップなどを展開。金沢の伝統文化を現代に合わせて更新しながら、国内外へ発信する場にもなっています。

客室は、禅や茶の湯といった武家文化が色濃く残る金沢らしく、「不完全さ、簡素さ」といった茶室の美学を感じさせる空間。
茶会もできる炉が切られた畳敷きのお部屋や、2段ベッドで構成されるリーズナブルなお部屋まで、全6種の客室から選べます。
中でも全3部屋の「JUNIOR SUITE」では、アート作品を展示。アートと過ごす特別な時間を楽しめますよ。
[TEL]076-282-9600
[住所]石川県金沢市上堤町2-40
[アクセス]JR 金沢駅より徒歩19分、タクシーで8分
「KUMU金沢 by THE SHARE HOTELS」の詳細はこちら
リバーリトリート雅樂倶(がらく)【富山】

神通峡のほとりに佇む、全23室のスモールラグジュアリーホテル。温泉、美しい景色、おいしい料理を楽しみながらアートに触れるひと時を過ごせます。


館内外には約300点の美術品を展示。屋外の広さを活かしたダイナミックな作品にも出会えますよ。
川沿いに造られた「アートウォーク」では、周囲の自然と現代アートの融合を楽しみながら散策することができます。
ライブラリーでアート関連の図書を閲覧してみたり、ロビーにあるこだわりのオーディオで臨場感たっぷりの音楽を堪能してみたり、館内は上質なホテルステイを演出する施設や工夫にあふれています。

客室は全て異なる趣。スタンダードからスイートまで、部屋タイプもさまざまです。寝具やアメニティにもこだわっており、快適な癒やしの時間を過ごせますよ。
[TEL]076-467-5550
[住所]富山県富山市春日56-2
[アクセス]【電車】JR 富山駅よりタクシーで40分 【車】北陸道 富山ICより20分
「リバーリトリート雅樂倶」の詳細はこちら
ホテル アンテルーム 京都【京都】

築23年の学生寮をリノベーションして誕生したホテル。ギャラリー、朝食レストラン、バーを併設し、友人の部屋のような心地よさと気軽さでありながら、アートを通じて“京都の今”を発信するデザインホテルです。
「365日アートフェア」というテーマのもと、80組以上のアーティストによるアート作品が、客室や共有部に展示されています。作品は気に入れば購入できるものもあるそうですよ。



通常の客室のほか、アーティストが手掛けるコンセプトルームも特徴的。彫刻家・名和晃平氏や写真家/映画監督・蜷川実花氏など、9組のアーティストによる個性的な宿泊体験が楽しめます。
2016年のリニューアルでは、50室のアパートメントと全128室の客室に増床。コンセプトである「アート&カルチャー」に新たに「和」が加わり、国内外への発信力をさらに高めています。2020年には、沖縄とソウルにもオープンしたそうですよ。
アートやカルチャーに浸りながら、快適でエキサイティングなホテルステイを楽しめる、新感覚のホテルです。
BnA Alter Museum(ビーエヌエー オルター ミュージアム)

美術館でもホテルでもない、宿泊型ミュージアム「BnA Alter Museum」。「あらゆる表現者の実験と発信の場」をコンセプトに、16部屋の“泊まれるアート作品”と、高さ31mの縦型ギャラリー「SCG」を有するアートホテルです。



アートルームは、もちろん全て異なる“作品”の全16部屋。アート作品の中に滞在し、その作り手達が織りなすシーンを感じられます。

そして「SCG」とは宿泊客だけでなく、全ての人々に開かれた縦型ギャラリースペース。施設内階段を上りながら、縦に広い5つの空間を鑑賞するというスタイルは、世界的にも珍しい展示空間です。
宿泊費の一部がアーティストに還元されるシステムを導入していたり、パブリックスペースを展示やイベントに開放したりするなど、国境を超えたアーティストやアートファンが集う場となることを目指しているそうですよ。
[TEL]075-748-1278
[住所]京都府京都市下京区河原町高辻天満町267-1
[アクセス]阪急電鉄 河原町駅より徒歩5分
「BnA Alter Museum」の詳細はこちら
node hotel(ノードホテル)【京都】

暮らしの中でアートを身近に感じられる、「アートコレクターの住まい」をコンセプトとしたホテル。シンプルな佇まいの中に、アートが存在感を放ちながらも調和している空間の作り方が絶妙です。


1階のパブリックスペースでは、アート、デザイン、ファッション、音楽をテーマに展示会やイベントを実施し、積極的にカルチャーを発信。
ホテル名にもなっている“node” とは、“結節点”という意味。その名の通り、国内外から訪れる旅行者と地域の人々とが交わって、人と人、文化と文化が触れ合うきっかけ作りをしたいという想いが込められているそうですよ。

客室は10平米のシングルタイプから、50平米超のジュニアスイートタイプまでさまざま。グレーを基調とした落ち着いたトーンのお部屋には、洗練された現代アートが展示されています。
非日常の贅沢というより、理想の暮らしを体験する場として作った、というこちらのホテル。家具はもちろん、快適性にもこだわったファブリックやアメニティ、ルームウェアなどにも注目です。
[TEL]075-221-8800
[住所]京都京都市中京区四条西洞院上ル蟷螂山町461
[アクセス]阪急電鉄 烏丸駅24番出口より徒歩6分、京都市営地下鉄 四条駅2番出口より徒歩6分
「node hotel」の詳細はこちら
ホテルロイヤルクラシック大阪【大阪】

2019年12月、「大阪・新歌舞伎座」跡地にオープンした「ホテルロイヤルクラシック大阪」。
長年なんばの街で愛されてきた「大阪・新歌舞伎座」の意匠を受け継ぎ、世界的建築家・隈研吾氏が忠実に再現。
また、美術評論家・伊東順二氏と銀座の画廊「ホワイトストーンギャラリー」監修のもと、100点を超えるアート作品を取り入れ、アートを間近に感じられる「HOTEL & MUSEUM」として誕生しました。




2020年7月には、開業後初となるアート作品の入れ替えを実施。村上隆氏による“お花シリーズ”の「祈り」や、フロレンティン・ホフマン氏による“動物シリーズ”など、新たに30点の作品がアートラインナップに加わりました。

客室は、モダンながらも木の素材を取り入れた温かみのある空間。照明や空調などの操作ができるタブレットを導入した最新設備を備えています。
ホテル内各所の共用スペースに配されたアート作品の中には、宿泊者のみが鑑賞できるものもあるそうですよ。
[TEL]06-6633-0030
[住所]大阪府大阪市中央区難波4-3-3
[アクセス]大阪メトロ各線 なんば駅12番出口直結
「ホテルロイヤルクラシック大阪」の詳細はこちら
ホテル アンテルーム 那覇【沖縄】

2011年に開業した京都に続いて2020年2月、沖縄に誕生した「ホテルアンテルーム那覇」。
アンテルームとは「待合室」という意味。ホテルを訪れる人達が、次の目的地へ向かうための準備や気持ちを快適に整えることができる「待合室」のような空間を目指し、名付けられたそうです。
また、ホテルに集う人同士の交流はもちろん、アートやカルチャーとの出“合”いも演出しています。


館内はエントランス、レストランなどパブリックエリア全体に、総勢30名以上のアーティストの作品を展示。またホテルの中心にはギャラリースペースを設け、今後さまざまな企画展やイベントを展開していくそうです。

客室は、港を望む全室ハーバービュー。ブルーグレーを基調とした客室は、外の海との繋がりを感じさせながらアートが引き立つようなシンプルな空間です。
中には、沖縄の景色、植物、街などをモチーフとした美術家によるコンセプトルームや、若手アーティストが手がけた客室も。アートとカルチャーに囲まれた、新しいリゾートステイを楽しめますよ。
まとめ
宿泊しながらアートを感じられるアートホテル、さまざまな種類のアートがあり、どれも違った魅力がありますね。旅がいつもよりちょっぴり贅沢なものになる…そんなアートホテルで特別な時間を過ごしてみませんか?
※新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、各自治体により自粛要請等が行われている可能性があります。ご利用の際には、あらかじめ最新の情報をご確認ください。また、感染拡大の防止に充分ご配慮いただくようお願いいたします。
※お出かけの際は、お住まいやお出かけされる都道府県の要請をご確認の上、マスクの着用、手洗いの徹底、ソーシャルディスタンスの徹底などにご協力ください。
岡本 いつか
3人の子を持つ、ママ編集ライター。たまにひとり旅に出かけます。奈良とウィーンが大好き。今一番欲しいものは、加齢とともに失った「睡眠1時間で働ける身体」。