こんにちは。写真の撮り方やフォトスポットを紹介するWebメディア「Photoli」編集長の横尾 涼と申します!
みなさんは普段どんなレンズで写真を撮っていますか?
「カメラを買ったときにセットで付いてきたレンズを使っているよ!」という方が多いのではないでしょうか?
今回お話するのは、レンズの種類について。実は、使うレンズの種類によって、撮れる写真が大きく変わるからです。
普段使っている以外のレンズも使いこなせるようになると、旅先での写真にもグンと違いが生まれるはず。
今回は、レンズの種類や特徴、それぞれのレンズで撮れる写真についてお話できたらと思います。
それではいきましょう!
レンズを見分ける2つのポイント“焦点距離”と“単焦点 or ズーム”
まず、各レンズの特徴をご紹介する前にレンズの種類を分ける2つのポイントについて簡単にお話します。そのポイントとはズバリこちら。
・焦点距離
・単焦点 or ズーム
焦点距離

一つ目のポイントは、焦点距離です。焦点距離とは、写す範囲(画角)を決める数字のことで、18mmや50mmのように「〇〇mm」と表記します。みなさんが普段使っているレンズにも記載があるので見てみてくださいね。
そして、この焦点距離よって「広角」「標準」「望遠」と大きく3種類の画角に分類してレンズの種類を考えることができます。今回の記事でもこの3種を扱ってご紹介します。
単焦点 or ズーム
二つ目のポイントは、ズームができるか否かです。ズームレンズはその名の通り、被写体にグッと寄って撮影のできるレンズ。
仕組みは異なるものの、スマホのカメラにもズーム機能が付いているためイメージしやすい方も多いのではないかなと思います。
一方、単焦点レンズはズームレンズとは異なり、一定の距離感での撮影のみができるレンズのこと。具体的な特徴は後述しますが、単焦点レンズにもズームレンズにもメリット・デメリットがそれぞれ存在します。

レンズに「〇〇-〇〇mm」と複数の焦点距離が記載されている場合、それはズームして画角を変えられるレンズの証です。
逆に、一つの焦点距離のみ、つまり「〇〇mm」と記載がある場合、そのレンズは単焦点レンズであることがわかります。
ズームレンズにもさまざまな焦点距離をカバーするものがありますし、単焦点レンズにも広角〜望遠まで数多くの種類があります。レンズの種類と一口にいっても溢れんばかりあるので、今回は基本的なラインナップとしてこの5種類に絞ってご紹介していきます。
1 . 標準ズームレンズ
2 . 単焦点レンズ
3 . 広角レンズ
4 . 望遠レンズ
5 . 高倍率ズームレンズ
作例で画角やボケの違いなどを比較しながら、使ってみたレンズや撮ってみたい写真を見つけていただけたら嬉しいです。
1 . 日常も旅先も、利便性高く撮れる「標準ズームレンズ」
最初に、50mm前後、いわゆる人の目の焦点距離に近い範囲をカバーする標準ズームレンズから。広い範囲から狭い範囲まで撮れる、便利な焦点距離のレンズです。
旅先や日常の風景など、よく使う画角が網羅されているので比較的万能なのが特徴。「旅にレンズを一本だけ持っていくならどれを選びますか?」と聞かれたら、僕も「標準ズームレンズ」と答えます。
また、標準ズームレンズの中でも、カメラとセット販売されていることの多いレンズを特に“キットレンズ”と呼びます。
初めてカメラを使う方でも不便のないよう、広めの画角からやや遠くまでを満遍なく撮れるレンズでです。
ただし、良くも悪くも「無難」という表現に収まってしまう難しさも。一眼レフらしいボケ感もなかなか得られにくいため、構図や表現力が身につくまではそのポテンシャルを発揮させにくいかなとも思います。
2 . キットレンズの次に使う一本に!軽さとボケ感が特徴の「単焦点レンズ」
キットレンズを日頃使っている方に、次の一本としておすすめしたいのが単焦点レンズ。先ほども少し触れましたが、単焦点レンズはズームができないレンズです。そのため「とても不便なのでは……?」と思う方も多いのですが、実はとてもおすすめのレンズなんです!
なぜなら、レンズ自体が比較的軽い上、背景のボケた写真が撮りやすいから。普段キットレンズを使っている方であれば「そのボケの違いに驚くのでは……?」とも思います。
スマートフォンでは撮れないボケた写真が一眼レフの醍醐味。
目立たせたい被写体がくっきりと浮かび上がるとなんだか少し写真がすこし上達したようにも思えて、より写真が楽しくなるように感じます。
僕も単焦点レンズを使い始めてから想像していたボケが撮れるようになり、写真にのめり込みました(笑)。
ということで、イチオシの単焦点レンズで撮影した作例をご紹介します。

こちらの写真は、川越氷川神社の風鈴です。風にハタハタと揺られている風鈴が綺麗ですよね。
これは焦点距離が85mm(望遠寄り)程度のもので撮影しました。
中心に見える青色の風鈴にピントが合っていて、周囲のピントが合ってない部分は綺麗にボケていることがわかります。

こちらは立ち寄ったカフェでいただいたチーズケーキ。焦点距離は50mmほど。
背景がしっかりボケていて、主題のチーズケーキと副題のお店の雰囲気とが綺麗に切り取れました。

単焦点レンズの場合、もっと寄りたいときには近づかなければならないですし、近すぎる場合は自分が離れて撮る必要がある。どんな写真を撮るときでも自分が動くため、構図を決める楽しさがあります。
そして、その楽しさはさまざまな景色を撮り歩きながら居場所を変える“旅”にも向いているのではないかと思うのです。
写す範囲が常に変わらない単焦点レンズは、まるで僕にとって「第二の目」のような存在。被写体との距離感を測りながら旅をするのがとても楽しく、僕自身は旅先でも単焦点レンズばかり使っています。
まとめると、単焦点レンズの魅力こちら。
・軽い
・よくボケる
・構図を決める楽しさがある
日々の写真が一層輝くように感じられる単焦点レンズ、レンズキットの次のレンズとしてとてもおすすめです。
3 . どこまでも続く絶景を迫力満点で切り取るなら「広角レンズ」
絶景を始め、目の前に広がる景色を撮る際に「もっと広く撮りたいのにこれ以上は広く撮れない……」と困ったことはないでしょうか?
そんなときに活躍するのが「広角レンズ」です。

最初にご紹介した標準レンズよりも短い焦点距離のレンズで、数値の目安は14〜24mm付近。なお、これよりも小さな値のレンズは「超広角レンズ」とも呼ばれます。

見たときに圧倒されるような景色を、迫力はそのままに撮影できます。
僕自身も、旅に出るときにはいつも持っている一本です。


また、広角レンズは遠近感が強調される特徴も持っています。
近くにあるものはグンと大きく写り、遠くにあるものは小さく写ります。その特徴が、より迫力のある写真に仕上げてくれるのです。
4 . 遠くを切り取るならこの一本「望遠レンズ」
広角レンズとは対称的に遠くのものを大きく写すことができるのが「望遠レンズ」です。焦点距離はだいたい100mm〜のものを指します。
遠くものを近くに引き寄せて撮影できます。
たとえばこんな風に。


広角レンズと望遠レンズで同じ景色を切り取ってみました。望遠レンズで撮影した写真では、遠くにあるはずの港付近の様子が大きく写っていることがわかります。
また他の設定が変わらない場合、焦点距離が大きい方望遠レンズのほうが広角レンズや標準レンズと比較して背景のボケが大きくなる特徴もあります。


撮りたい主題を大きく、かつ綺麗なボケと共に写し出せるのが望遠レンズの醍醐味です。
5 . 広角から望遠までを写す便利な「高倍率ズームレンズ」

最後にご紹介するのは、広角から望遠域まで一本でカバーできてしまう「高倍率ズームレンズ」。
これまでご紹介した他のレンズの場合、ズームレンズを使ったとしても焦点距離の範囲が決して大きくはありません。
そのため、遠くのものを撮りたかったら望遠レンズ、広い景色を撮りたかったら広角レンズ、というようにレンズを次々と変える必要があるのです。
とはいえ「出会ったシャッターチャンスを逃してしまうこともあるのでできればレンズ交換は避けたい……」。そんなときに便利なのが高倍率ズームレンズです。

幅広い焦点距離をカバーしてくれるので、ズームリングを回せば広角側で写真を撮ったあとすぐにでも、遠くにいる猫だって大きく撮れちゃいます。


レンズ交換なしで、広い景色も寄った景色をも撮ることができるのは大きな特徴かなと思います。
ただし、広角も望遠も一本でカバーできる代わりに、ボケた写真が撮りづらい特徴も挙げられます。
レンズを選び変えて、撮れる写真の幅を広げよう!
今回は、5種類のレンズの種類を見てきました。
1.目の焦点距離に近い「標準レンズ」
2.ボケを自在に操ることができる「単焦点レンズ」
3.広い景色を広く切り取ることができる「広角レンズ」
4.遠くの景色を近くに寄せて撮ることのできる「望遠レンズ」
5.広角から望遠まで1本で味わうことができる「高倍率レンズ」
レンズ選びによって、同じ景色を撮影するとしても、見える世界が変わってくることを知っていただけたかと思います。
レンズの世界は奥が深く、ここでご紹介した以外にもさまざまなレンズがあります。
「自分が撮りたい写真はどのようなものだろう?」と想像を膨らませながら、良い相棒と出会っていただけたら嬉しいです。
みなさんの写真ライフが充実しますように。それでは!
横尾涼
写真の楽しみ方や撮影のコツを紹介するメディアPhotoliの編集長です。自身もフォトグラファーとして活動し、風景写真や人物写真を撮影しています。写真と旅とおいしいご飯が好きです。[Photoli]https://photoli.jp/