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2023.10.10

「桜の種類・品種はいくつある?」名前や開花時期、見られる場所など画像付きで紹介!

日本の桜には、どれだけの種類・品種があるかご存じですか?ソメイヨシノ、オオシマザクラ、ヤマザクラ、早咲きのカワヅザクラ…。開花時期や、花びらの数、淡紅色か白かなど、それぞれに特徴があります。

この記事では、日本の代表的な桜の名前や見分け方をお伝えします。
これだけ知っておけば、桜を見るのがもっと楽しくなるはず!

※この記事は2023年10月10日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
記事配信:じゃらんニュース

桜の種類の数はどれくらい?

桜

日本には現在、600種類以上の桜があるといわれています。分類方法の違いもあって、正確には数え切れないレベルです。

そんなたくさんの桜も、元をたどれば11種の「基本野生種」から生まれています。自然交配で生まれたものだけで100種以上あり、古くから園芸品種の育成も盛んです。

もとの基本野生種とは、
ヤマザクラ(山桜)、オオヤマザクラ(大山桜)、カスミザクラ(霞桜)、オオシマザクラ(大島桜)、エドヒガン(江戸彼岸)、チョウジザクラ(丁字桜)、マメザクラ(豆桜)、タカネザクラ(高嶺桜)、ミヤマザクラ(深山桜)、クマノザクラ(熊野桜)、カンヒザクラ(寒緋桜)
の11種。

桜は突然変異しやすく、新しく生まれたものを挿し木などで増やしていくと新種を作りやすいという特徴があります。また、花期が重なると、野生でも交配がしばしば起こります。

基本野生種の桜には、

・花が先に咲く/花と葉が同時に出る
・花びらの色が白/ピンク/濃いピンク
・花びらの数が5枚/6枚以上/100枚以上

など、それぞれに個性があり、交配品種にも親の特徴が現れます。DNA的に母親の方(母本:ぼほん)の特徴が強く出るのだとか。

品種によって開花時期が違う!

桜

1月の沖縄県のカンヒザクラ(寒緋桜)から始まって、5月の北海道のオオヤマザクラ(大山桜)まで、開花時期に大きな差があります。
標高2000m以上に咲くタカネザクラ(高嶺桜)だと、7月頃に咲くことも。

カンヒザクラを親に持つ品種は、比較的寒い地方でも早咲きの傾向があります。これは「休眠打破(きゅうみんだは)」というメカニズムが早く働くからなのだとか。

ソメイヨシノなど多くの代表的品種は3月下旬~4月上旬が開花時期。地方によって大きく変わり、青森県・弘前城の「花筏(はないかだ)」はGWが見ごろです。

ヤエザクラ(八重桜)と呼ばれるグループや、ヤマザクラは、ソメイヨシノが終わってからが開花時期。桜の種類を知っておけば、長い間お花見が楽しめますね!

ここからは、北海道から沖縄まで、全国の名所で見られる代表的な桜の品種をご紹介します。

※以下の「開花時期」は、東京都平野部の気候を基準としています

ソメイヨシノ(染井吉野)

ソメイヨシノ

桜といえばこれというぐらい代表的な品種です。一説によると、全国の桜名所の約8割をソメイヨシノが占めるのだとか。

エドヒガンを母、オオシマザクラを父に持ち、「葉が出るより先に花が咲く」という点をエドヒガンから、「大輪で整った花」をオオシマザクラから受け継いでいます。

全国のソメイヨシノはすべて、接ぎ木などによって増やされた「クローン」。同じ環境であれば花期がずれず、一斉に咲くので、見事な桜並木が楽しめます。

【開花時期】4月上旬
【花の色】淡いピンク
【咲き方】一重咲き
【見られる場所】北海道北部、鹿児島県奄美地方、沖縄県を除く全国

オオシマザクラ(大島桜)

オオシマザクラ

名前の「オオシマ」は、伊豆半島の沖に浮かぶ伊豆大島が由来。島しょ部原産で、古くから三浦半島や房総半島に自生していた「基本野生種」のひとつです。

花が白く、大輪で、桜の中では芳香が強め。ときどき八重咲きになったものもあります。葉と花が同時に展開するのも特徴です。

美点が多く、ソメイヨシノなど多くの品種のもとになってきました。その香りを生かして、桜餅の塩漬けの葉っぱにはオオシマザクラの葉が使われています。

【開花時期】4月上旬
【花の色】白
【咲き方】一重咲き
【見られる場所】東京都・大島公園、神奈川県・湘南平(高麗山公園)、同・源氏山公園など

ヤマザクラ(山桜)

ヤマザクラ

古来より日本人になじみのある桜がヤマザクラ。ソメイヨシノ以前の花見といえばこの桜でした。基本野生種のひとつで、日本固有種でもあります。
山地に咲く桜を総称して山桜と呼ぶこともありますが、れっきとした品種です。

個体差が大きく、花の色も白っぽいものからピンクまでバリエーション豊か。葉と花が同時に展開しますが、若葉のうちは葉が赤っぽいのが特徴です。

奈良県の「吉野の桜」といえばこのヤマザクラがメイン。吉野の桜は特にシロヤマザクラと呼ばれています。ちょうどソメイヨシノが終わったころに見ごろを迎えます。

【開花時期】4月中旬
【花の色】淡いピンク
【咲き方】一重咲き
【見られる場所】茨城県・桜川(磯部桜川公園など)、長野県・陸郷、奈良県・吉野山など

カンヒザクラ(寒緋桜)

カンヒザクラ

中国南部~台湾~沖縄にかけて分布する桜で、早咲きの性質を持っています。ソメイヨシノの南限が鹿児島県のため、沖縄県で花見といえばこの桜。

一般に桜は、夏に新芽を形成したあと、秋冬にそなえて休眠に入ります。休眠から目覚めるスイッチは、一定期間の冬の寒さと、その後の暖かさ。

もともと暖かい地方原産であるカンヒザクラは、この「休眠打破」というメカニズムがそれほど寒くなくても働くため、早咲きなのだとか。

15℃ぐらいでスイッチが入り、その1カ月後には咲くそうです。そのため沖縄本島では、桜前線は北上せず、寒さを記録した北部から南下していきます。

あざやかな濃いピンク色の花で、下向きに咲くのが特徴です。

【開花時期】1月下旬~2月上旬
【花の色】紫がかった濃いピンク
【咲き方】一重咲き
【見られる場所】沖縄県・今帰仁城跡、同もとぶ八重岳一帯、鹿児島県・仙巌園(せんがんえん)など

エドヒガン(江戸彼岸)

エドヒガン

「江戸」と名前が付いていますが栽培品種ではなく、全国で見られる基本野生種のひとつ。各地にある樹齢数百年~千年超えの桜は、多くがこのエドヒガンです。

特徴は、葉より先に花を咲かせることと、山のようにこんもりとした樹形、そしてとても長寿なこと。樹齢1800年の神代桜、1500年の薄墨桜、1000年の樽見の大ザクラなど、各地に天然記念物に指定された「一本桜」があります。

また、早咲きの傾向があり、お彼岸のころに咲くのも名前の由来のひとつです。

【開花時期】3月中旬
【花の色】淡いピンク
【咲き方】一重咲き
【見られる場所】山梨県・神代桜、岐阜県・薄墨桜、岡山県・醍醐桜など、本州、四国、九州

カワヅザクラ(河津桜)

カワヅザクラ

早咲きの桜として筆頭に挙がるのがカワヅザクラ。1955年に静岡県河津町の河津川沿いで、1mほどの原木が偶然発見されたのが始まりです。

カンヒザクラとオオシマザクラが自然交配して生まれた種で、カンヒザクラの早咲きと濃いピンク色の花、オオシマザクラの大輪の花という特徴を受け継いでいます。

発祥地の河津川には約850本もの桜並木があり、早春の訪れを告げてくれます。また、本州から九州まで各地に移植されていて、全国に名所があります。

【開花時期】2月上旬~3月上旬
【花の色】濃いピンク
【咲き方】一重咲き
【見られる場所】静岡県・河津町、埼玉県・すみよし桜の里、大分県・四浦半島など

オオヤマザクラ(大山桜)

オオヤマザクラ

北海道、東北、中部を中心に分布する基本野生種のひとつで、寒冷地を好む桜です。アイヌ語名はカリンパニ。エゾヤマザクラの別名もあります。

花がヤマザクラより大きいことが名前の由来で、直径3~4.5cmと比較的大ぶり。葉と花は同時に展開し、若葉が赤いのがヤマザクラと共通の特徴です。

北海道・東北では4月下旬からGWごろに見ごろを迎え、二十間道路桜並木(北海道)、世界一の桜並木(青森県)など、雄大な名所があります。

【開花時期】4月中旬~5月上旬
【花の色】ピンク、濃いピンク
【咲き方】一重咲き
【見られる場所】北海道・二十間道路桜並木、青森県・世界一の桜並木など。北海道、本州(北部・中部)、四国(剣山・石鎚山脈)、九州(白岩山)

ヤエザクラ(八重桜)

ヤエザクラ

ヤエザクラはひとつの品種名ではなく、八重咲きになる桜の総称。花びらが6枚以上あるものを八重咲きと呼びます。

20枚から70枚ぐらいの花びらのものが多く、中には「菊咲き」と呼ばれる100枚以上の花びらを持つ品種もあります。
お祝いの席で出される「桜湯」に使われるのは、ヤエザクラの花の塩漬けです。

よく見られる品種は、カンザン(関山)、フゲンゾウ(普賢象)など。花びらが緑色のギョイコウ(御衣黄)もよく知られています。
どれも花期が比較的遅く、ソメイヨシノが終わってからが見ごろです。

【開花時期】4月中旬~下旬
【花の色】濃いピンク、淡いピンク、黄緑色など
【咲き方】八重咲き
【見られる場所】北海道・松前公園、東京都・新宿御苑、大阪府・桜の通り抜けなど

シダレザクラ(枝垂桜)

シダレザクラ

シダレザクラは、枝がやわらかく下に垂れる桜の「総称」の場合と、エドヒガンの枝が垂れたひとつの栽培品種を指す場合の、2つのケースがあります。

「枝垂れ性」は桜にときどき現れる突然変異で、枝の上部が硬くならず、広がった枝が重力で下に垂れます。平安時代から「しだり桜」や「糸桜」とも呼ばれて、好まれてきました。
シダレザクラ同士の子でも、枝垂れ性にならない場合もあります。

代表的な品種としては、栽培品種のシダレザクラをはじめ、ヤエベニシダレ(八重紅枝垂)、シダレヤマザクラ(枝垂山桜)、キクシダレ(菊枝垂)などがあります。

【開花時期】3月中旬~4月中旬
【花の色】濃いピンク、淡いピンクなど
【咲き方】一重咲き、八重咲き
【見られる場所】北海道、本州、四国、九州など全国

セイヨウミザクラ(西洋実桜)

セイヨウミザクラ

セイヨウミザクラは、サクランボのなる桜のこと。18世紀初めにはヨーロッパ各地で栽培されていたものが、1870年ごろ日本に持ち込まれました。

日本の野生の桜も実がなるのですが、小さく酸っぱかったりなどして食用には向いていません。また、ソメイヨシノは「自家不和合性」といって、ソメイヨシノ同士では実がならない性質があります。

セイヨウミザクラは現在「佐藤錦」「紅きらり」「ナポレオン」など、多くの品種があります。4月中旬ごろ、一重咲きのかわいらしい花を咲かせます。

【開花時期】4月中旬
【花の色】淡いピンクなど
【咲き方】一重咲き
【見られる場所】北海道、本州、四国、九州など全国

【記事出典・参考】
勝木俊雄『桜の科学 日本の「サクラ」は10種だけ?新しい事実、知られざる由来とは』SBクリエイティブ、2018年

公益財団法人 日本さくらの会
http://www.sakuranokai.or.jp

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ミキティ山田  ミキティ山田

旬な話題を求めて、いろいろな場所を取材・撮影する調査員。分厚い牛乳瓶メガネに隠したキュートな眼差しでネタをゲッチュー。得意技は自転車をかついで階段を登ること。ただしメガネのせいでよく転びます。

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