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2021.02.06

春に出会える野鳥14選。身近にいる鳥の名前や特徴・種類を紹介【全国】

公益財団法人日本野鳥の会の上田恵介会長に、春に出会える野鳥のことを教えてもらいました。

「若葉の出る頃は林も明るく、鳥を観察しやすい季節。特に春は鳥にとって“恋の季節”で、オスがメスにアピールをするためにたくさん“さえずり”ます。そのため、この時期はたくさんの種類の鳴き声が聞けますよ。また、目だけで小鳥を探すのは難しいですが、“さえずり”をたよりにすると見つけやすくなります。」と上田さんは言います。

小鳥のさえずりがひときわ美しくなる頃。身近にいる野鳥の鳴き声に耳を傾け、その存在を感じてみてくださいね♪

※この記事は2021年1月22日時点での情報です。

記事配信:じゃらんニュース

はじめに

◆注意点◆
鳥を探すのに夢中になりすぎて私有地に入ったり、民家やマンションの方向に双眼鏡を向けたりするとトラブルの元になります。基本的なマナーを守って、野鳥観察を楽しみましょう。

◆よく見る「ものさし鳥」と比べてみることから始めよう◆
野鳥を見分けるとき、身近でよく見る鳥を基準にして大きさの見当をつけるのがポイントです。「ものさし鳥」は、スズメ(全長14cmくらい)、ムクドリ(同24cmくらい)、キジバト(同33cmくらい)、ハシブトガラス(同56cmくらい)。

ウグイス

春に出会える野鳥

◆鳥の特徴:スズメより一回り小さく、全体がオリーブ色(緑がかった褐色)。全長14~15.5cm。オスのほうが大きい。
◆見られる場所:郊外のやぶの中

さえずりは、おなじみの「ホーホケキョ」のほか、「ケキョケキョ」と繰り返すこともあるそう。「温暖化でさえずり始めるのが早くなってきていて、2月半ばから聞こえることもあるようです」。一般的には、3月初め頃からさえずり始めます。

クマザサなどの茂みを好み、郊外のやぶがあるところにいるかもしれません。「春を告げる鳥として珍しくはないですが、姿を見るのは難しいので、さえずりをたよりに探してみてください」。

メジロ

春に出会える野鳥

◆鳥の特徴:目のまわりが白く、暗黄緑色をした小鳥。スズメより一回り小さい。全長12cm。
◆見られる場所:ウメやサクラなど花の咲く木のまわり

「年中いる鳥ですが、さえずり始めるのが4月頃なので、気づきやすいと思います」。「チーチュルチーチュルチチルチチルチュルチー」と10秒以上続くさえずりで、高く複雑な鳴き方をします。とてもきれいな声です。

花の蜜を好み、椿や梅、桜など木に咲く花のまわりで見られます。「絵の題材で“梅に鶯”とよく言われますが、それは間違い。ウメの花に来るのはメジロです。エサの少ない冬は、庭木やベランダにみかんを半分に切って置いておくとメジロがやって来ますよ」。

ヒバリ

春に出会える野鳥

◆鳥の特徴:褐色、頭頂に冠羽がある。スズメより一回り大きい。全長17cm。
◆見られる場所:郊外の畑があるところ。芝生のある大きな公園のような開けた場所などでも。

ヒバリも年中見られる留鳥ですが、春から夏にかけては大きな声でさえずるので目につきやすいそう。「いわゆる“ピーチクパーチク”といった鳴き方で、30分くらい鳴き続けることもあります。とてもエネルギーを使った鳴き方をします」。

空を飛びながらさえずるのも特徴なので、さえずりが聞こえたら、空を見上げてみましょう。ちなみに、さえずっているときには、ヒバリの頭の上にある「冠羽」が立っているそうです。

農耕地や空港などの開けた場所で見られるほか、2000mくらいの草の生えていない「ガレ場」のある山(富士山や浅間山、蔵王など)にもいることが近年の研究でわかったそうです。

エナガ

春に出会える野鳥

◆鳥の特徴:白っぽい小さな体。尾が長い。スズメより二回りほど小さい。全長13.5cm。
◆見られる場所:九州以北の雑木林。都内でも大きな公園などで見られるチャンスも。

白っぽい小さな丸い体に、長い尾が特徴のエナガ。名前の由来も、長い尾を柄(え)に見立てたことからきている。「体長と同じ、7~8cmの長さの尾をもつ。日本では最小の部類に入るかわいい小鳥です」。

雑木林にいて、秋から冬は群れで行動。3月ごろから、巣作りをします。「この巣が特徴的で、鳥の体は小さいのに、巣は大きくソフトボール大の大きさ。苔や鳥の羽を集めて作られたふわふわの巣で、鳥の羽が1000枚以上使われた例もあるんですよ」。

ホオジロ

春に出会える野鳥

◆鳥の特徴:スズメくらいの大きさで、よく似ているが、眉とほっぺたが白い。全長16.5cm
◆見られる場所:農耕地や草地、山すその斜面で、ススキが生えているようなところ。

目の下にある白い模様から「ホオジロ」という名前に。スズメくらいの大きさで、よく似ていますが、スズメより少し明るい赤茶色で、尾も長めです。

4月頃になると、高い木のてっぺんなど目立つところでさえずっている姿が見られます。

昔から多くの人に親しまれている鳥。「昔の人はホオジロのさえずりを『一筆啓上仕り候(いっぴつけいじょうつかまつりそうろう)』と言っているように聞こえると言っていました。高い声で早口で言えば似ているかも……? 」

ツバメ

春に出会える野鳥

◆鳥の特徴:頭から背は光沢のある黒で、翼と尾が長い。全長17cm。
◆見られる場所:人家の軒先や、サービスエリアなどに巣があることも。

冬は東南アジアで越冬して、4月の初めに南から渡ってきます。「いうまでもなく、春を告げる鳥ですね。早ければ3月初め頃から渡りのたよりがあります」。

飛んでいる虫を捕まえるため、素早く飛び、尾羽で舵取りをして、急な方向転換もできます。人家の軒先やサービスエリアなどの建造物に、泥を材料にした、おわん型の巣をつくります。

「カラスやヘビなどの天敵から身を守るため、積極的に人間を利用しています。昔は人通りの多い商店街などに巣がありましたが、都内では泥がなく虫も減っているので、ツバメを見かける機会も減っています」。

ケリ

春に出会える野鳥

◆鳥の特徴:飛ぶと翼の色が白黒のパターンにくっきり分かれて見える。ハトと同じくらいの大きさ。全長35.5cm。
◆見られる場所:田んぼのあぜや休耕田など

年中見られる留鳥です。関東平野にはほとんどおらず、名古屋から西や、新潟、山形など日本海側で、田んぼのあぜや休耕田にいる姿が見られます。「翼を広げると白黒のパターンですが、閉じていると体は灰色っぽく、地面にいると見つけにくいです」。

早春から繁殖を始めます。「ケリッ、ケリッ」と甲高い大声で鳴くことから名前がつきました。これは、巣がある田んぼや畑に人間が近づいてきて、警戒・威嚇しているときの声。「人に向かって急降下してくることもあるので、びっくりします」。

ツルシギ

春に出会える野鳥

◆鳥の特徴:体はハトと同じくらいの大きさで、くすんだ黄褐色の長い足と、細長いくちばしをもつ。全長32.5cm。
◆見られる場所:水田、湿地など

渡り鳥で、日本には春と秋に渡来します。繁殖地はシベリア、南はオーストラリア大陸にまで行くといいます。春になると、繁殖のため南から北へ渡る途中の姿が見られます。

「夏羽は真っ黒で、下くちばしは赤く、きれいな色彩になりますが、日本では、茶色の冬羽から夏羽に変わる途中のまだらな色の個体を見かけることが多いですよ」。

干潟ではなく、ハス田や湖沼などの湿地に飛来します。他の多くのシギの仲間は干潟にいるので、内陸部にいるツルシギは目につきます。

ムナグロ

春に出会える野鳥

◆鳥の特徴:黒と黄褐色のまだら模様。胸から腹にかけて黒い。足は短い。ムクドリ大。全長24cm。
◆見られる場所:農耕地

胸から腹にかけて黒いので「ムナグロ」と言います。背中が金色っぽく見えるので、英語では「ゴールデン・プロバー(金色のチドリ)」という名がついています。

チドリ科の渡り鳥で、ツルシギと同じように春になると南から北へ渡る姿が見られます。「水を入れる前の田んぼなどで虫を食べている様子がよく見られます。広い畑に数十羽の群れでいることも」。

サシバ

春に出会える野鳥

◆鳥の特徴:茶色で腹部が縞模様。ハトよりも一回り大きい。全長47~51cm。メスのほうが大きい。
◆見られる場所:水田と里山がセットになったような場所

台湾やフィリピンなどで越冬し、4月の終わり頃に日本に渡ってくる中型のタカです。トカゲやカエル、蛇、大きなイモムシなどを捕食します。秋には大きな群れになって南に渡ります。

「餌のある水田や里山がセットになった場所で見られますが、そういう場所は減ってきています。関東でも、栃木や群馬あたりでは見られます」。「ピックイー」とよく通る声で鳴きます。

アマサギ

春に出会える野鳥

◆鳥の特徴:全身白色。ボディはハト大だが、首と足が長い。全長50.5cm。
◆見られる場所:農耕地など

サギの仲間では最小。ふだんはほとんど全身白色ですが、繁殖期になると、頭から胸にかけての羽毛がうすいオレンジ「亜麻色」に変わります。「くちばしも赤く色づいてキレイですよ」。

水辺にいるサギは魚を食べるが、アマサギは昆虫食。田んぼのあぜでバッタやイナゴを食べることも。「他のサギと一緒にいても、水のない草むらのほうにいるのがアマサギ。よく観察してみてください」。

センダイムシクイ

春に出会える野鳥

◆鳥の特徴:ウグイスに近いオリーブ色。スズメより二回りくらい小さい(メジロくらいの大きさ)。全長12.5cm。
◆見られる場所:1000mくらいまでの低山などの林

センダイムシクイは、若葉が出る4月頃に渡ってくる夏鳥。「名前にセンダイとついていますが、仙台にいるわけではありません」。

「ムシクイの仲間はたくさんいて、見た目はみんな一緒。鳴き声で見分けます」。センダイムシクイは、「チヨチヨビーィ」と、最後が濁るさえずりだそうです。「4月末からゴールデンウイークあたりには、渡りの途中に、関東都市の公園などでも休憩していることがあるので、声は聴けるかもしれません」。

ミソサザイ

春に出会える野鳥

◆鳥の特徴:全身こげ茶色に白い斑点がある。スズメより二回りくらい小さい。
◆見られる場所:平地から山地(標高1000mくらいの山)の渓流沿いの林。

「もののけ姫の舞台のような、苔があり湿っぽい深い森を好みます」。標高1000mくらいの亜高山帯におり、高尾山の山頂付近などでも見られます。

体は小さいですが、さえずりはとても大きく、きれいな高い声で、十数秒続けてさえずるのが特徴。さえずるときは、短い尾羽をピンと立てて、よい姿勢で鳴きます。

ミソサザイも、小さな体で沢筋の暗い場所にソフトボール大の大きな巣を作るそう。「苔が積み重なっているような巣ですよ」。

カワガラス

春に出会える野鳥

◆鳥の特徴:黒っぽい暗い焦げ茶色。ムクドリ大。全長22cm。
◆見られる場所:郊外の渓流がある場所

カワガラス科の小鳥。渓流に暮らし、泳いだり水に潜ったりします。主に水生昆虫を食べます。「繁殖期は3~4月頃。滝の裏側に巣を作ります。カワガラスは、滝を突き抜けて、巣に出入りするんですよ」。

カワガラスの羽は、脂を塗ったようなテカリがあります。「雨や水にぬれても大丈夫なように、多くの鳥たちは、腰の後ろあたりに脂肪を分泌する『尾脂腺(びしせん)』があって、羽毛のお手入れをしています」。

渓流での姿はなかなか見つけにくいですが、「ビッビッビッ」と大きな濁った声で鳴くので、気づけるかもしれません。


取材協力:公益財団法人 日本野鳥の会
https://www.wbsj.org/

日本野鳥の会では、ツバメを観察したくなるパンフレット『ようこそツバメ』を無料プレゼント中です。詳細はこちら ※2021年4月22日現在

画像出典:写真AC

まとめ

日本野鳥の会の会長・上田恵介さんに、春の野鳥を14種類ご紹介してもらいました。

上田さんは、「春は林も新緑のきれいな色で、気温もいい。野鳥の観察にはいい季節です。とくに4月末から5月にかけて、森は鳥たちのさえずりであふれています。鳥たちは繁殖のために必死に鳴いていますよ」と話します。

散歩のときや公園に行ったときなど、ちょっと意識してみてください。たくさんの野鳥の声が聞こえ、その姿を見られるかもしれません。

※この記事は2021年1月22日時点での情報です。
※お出かけの際は、お住まいやお出かけされる都道府県の要請をご確認の上、マスクの着用、手洗いの徹底、ソーシャルディスタンスの徹底などにご協力ください。

じゃらん編集部  じゃらん編集部

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